天使と地獄の黄金比率

 俺の手を取り、学校へ共に登校したこの天使の名前は花園かなえ。俺のクラスの隣のクラスに居る。彼女は学校一の美人とも言われるほど美しかった。そんな彼女が俺に声をかけるのは珍しいことではない。彼女はとても優しく。誰にでも優しい。そんな人間なのだ。

「はぁ...はぁ...ギリギリ間に合ったね!」

 そんなことを元気に言ってくる。

「ああ、助かったよ、お陰様で」

 正直あんなに走るとは思わなかった!

「それじゃあお互い補習頑張ろうね!」

「そうだな」

 女子との会話はイマイチ苦手だ。生返事しかしない俺のことを、彼女は笑顔で見送ってくれた。


  教室の扉を開ける。少しざわついていた教室の雰囲気が、俺が入ってくるのをきっかけにまたさらに騒がしくなった。

「お!東条じゃねーか、遅かったな!」

「電車乗り遅れてな」

 こいつは俺の親友の椎名トモキ。いつも元気なやつだ。

「あれ?そう言えばお前、花園と一緒じゃなかったか?」

「気のせいだろ」

「ふーん」

 なんだそのふーんというのは。うたがっているのか?まぁいい。授業も始まることだし席につくか。

 俺が席につくと、教室の扉が大きな音をたてて開けられた。

「おいお前らぁぁぁぁ!覚悟はできてんのかぁぁぁ!!!」

 そこに居たのは先生?だった.....

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る