女神の救い

  玄関を出てしばらく歩くと小さな駅がある。俺は毎日ここから電車に乗って学校に通っているのだ。 

 電車は一日に1本、なんて東京に行きたくなるような田舎みたいなペースではないが、中途半端な時間配分で1本乗り遅れると30分くらいは待つであろう。いつもなら寝ぼけて乗り過ごす電車だが、今日はちょうどよく間に合ったみたいだ。


 そんなこんなで学校の最寄りの駅に着き、少し歩いて補習に向かっていると、俺の横を艶やかな髪を振りまく少女が駆け抜けて行った。

 何をそんなに急ぐのだ乙女よ、と俺、東条は思ったが次の瞬間なにが起きているか分かった。その子はウチの制服を着ていた。今日は夏休み、学校に来るのは補習授業のヤツしかいないのだ。とっさに俺は時計を確認した。


「授業開始までは……」


 時計は授業開始の5分前を指していた。彼女もなかなかだが俺は相当だった。なぜ遅れたのかは電車の時間が1本遅れでちょうど来たということだった。これじゃあ時計の意味が無いな!自分に呆れ、そして時間への負けを認めたその時。


「君、私と同じ学年の東条くんよね?今日来たってことは補習……だよね?ほら!遅れちゃうよ」


  そこには天使がいた。

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