第2話
……
一ヶ月の月日が流れた。
なのに相も変わらず覚めない夢。
覚めないだけでなく時が経つに連れ、視界のぼやけは薄れてクリアになっていってる。
……もう認めよう。
これは夢じゃない、現実なのだと。
どうやら俺は俗にいう輪廻転生したらしい。
認めてからは早かった。
俺はすぐに情報を集めることを開始した。
辞書やインターネットは使えないので、断片的に聞こえてくる言葉に聞き耳をたてることしか出来なかったが。
それでもとりあえずは二つほど情報が揃った。
まず、第一に転生といっても漫画みたいに異世界に転生したとかではないみたいだ。また死んでから百年後の世界とかでもないらしい。
会話から、知っている有名芸能人の名前が多く出てたことから、俺が死んでからそこまで経過していないのだと思う。
異世界に転生したかった気持ちは無いことはないが、それよりもあんな死に方をしたのにも関わらず、平和な国である日本に転生できて良かったと言う気持ちの方が強かったことに自分事ながら驚いた。
まぁ、前世と違い今世ではブラックに就職する可能性が低いだろうけど。
俺はちょっと首を動かして上を見上げた。
豪華絢爛な装飾を施した壮大なシャンデリア。
一般家庭ではまずお目にかかることのない代物だ。
何故こんなものが、と現実だと理解したときはさぞかし驚いたが、自分達の苗字を知ったとき納得した。
西四辻グループと言えば、
一般庶民をやっていた俺には雲のような遠い存在だったそんな名家が、今では俺の家となっている。
……凄すぎるだろ。転生しただけでも凄いのにこんな名家を引き当てるなんて、当事者じゃなければ鼻で笑うような話だ。
と、そんな名家に生まれてきたからこそ俺がブラック企業に勤める可能性は低いと考えれたわけだ。
名家の娘にそんなハードな仕事をさせたら会社ごと握り潰されそうだからな。そんなリスクあることを望んでする会社はどこもないだろう。
こんな感じで、今世の就職先はホワイトまっしぐら。ブラック企業対策に関しては何にも考える必要がなくなった。よかったよぉ……。
二つ目は自分達の名前だ。これは一人づつ母親らしき人が抱き抱えて言っていたから間違いはない。
一女は
二女は
四女は
そして三女の俺は
まさに女の子!!! って感じの名前でもないし、前世の名前と少し似てるから俺は案外気に入っている。
西四辻家には俺達四つ子の他にも上に一人兄がいるようでちょくちょく名前が上がっていたが、優先事項はここにいる半身である三人の名前を知ることだったので兄の名前がどんな名前だったのかは忘れてしまった。
まだ一度も会話で上がってない母や父の名前を知る頃には知れていると思うので特に焦ったりもしてないが。むしろ生後一年満たない今の段階で覚えれた方がおかしいだろう。
つい三十分ほど前に起きた筈なのにまた眠くなってきた。俺は小さくアクビをすると以前のように抗おうとはせずその睡魔に従いゆっくりゆっくりと暗闇のなかに落ちていった。
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