第41話 告白の決意
こんにちは、ロゼです。カディにつままれてます。
「お前はっ!」
過保護さんは、おじいちゃんへの説明もそこそこに、早く帰って来たのに気に入らないらしいんです。
5分くらいですよ? 門限厳し過ぎませんかね。
おじいちゃんは転移で箱庭に連れて行って、回復かけて一応ベッドに放り込んで来た。放り込んだのはノアールでだけど。
なんか混乱してたけど、サイドテーブルにノアール分のご飯を置いて箱庭の水は飲めること、二階以外は自由にしていいこと、ここを発展させないと戻れないこと、後でまた来ることを早口で告げて帰ってきた。
頑張って早く帰って来たのにお説教なんですよ、ひどいと思いませんか。
「お前、隠れ里に帰れたのか?」
隠れ里ってなんだろう? 語感から言って箱庭と似たようなものかな?
「行けますよ。今、住人第一号置いて来たし」
「住人第一号ってお前、他に人いねぇのかよ」
「いないどころか家が一軒建ってるだけですね」
答えてゆくと微妙な顔になってゆくカディ。何ですか? まだ始めたばかりなんだから、何もないのはしょうがないでしょう? さぼってたわけじゃないですよ。あ、迷宮にちょっと閉じ込められた時のはノーカンでお願いします。
俺以外は行ったら帰ってこれないこととか、尋問を受けてたら時間がかかったらしく、今度はミナが探しに来た。
「どうした」
「ちょろちょろ動き回るから、ちっとお説教」
取り繕うカディ。
「ミナとファレルは家に帰れるのは、知ってます」
台無しにする俺。
「ああ、家に帰れるのは、バラしたのか」
帰れるのは、のところでミナを見た意味をわかってくれたらしいミナの返事。同じところでちょっと間を置いたのは気がついたってことですよね?
腕を伸ばすと、ぶら下げられてる状態からミナが抱きとってくれた。やっぱりお胸はいいですね!
「お前……。そうか、二人は神殿に誓約いれてんだったな」
ミナを俺を交互に見てちょっと顔をしかめたかと思うと、深いため息をつくカディ。
「誓約があろうがなかろうが、ロゼに不利になるようなことを言うつもりはないよ」
そうでした、
ミナのお胸を堪能しつつ、焚き火の場所に戻る。あ、いい感じの棒を忘れて来た。気に入ってたのに。
「随分時間がかかりましたね?」
途中、馬に水を飲ませ草をはませていたハティが、馬にブラシをかけながら聞いてくる。馬は大事にするタイプなんですね?
「こいつがな……」
どうしてくれよう、みたいな目で見てくるのはやめてください。
ハティの隣を通り過ぎて、ちょっと離れた焚き火に着くと、すでにお湯も沸いていてファレルがお茶をくれる。生水にあたって旅の途中でおなかを壊したら目も当てられないというか、基本こっちでは
水筒に湯冷ましを入れるんで多めに沸かされてます。要するに川の水です、これ。見てる分には透き通ってて、魚も泳いできれいなんだけど、飲むのは勇気がいる。この辺の川の水は町の井戸より飲料水的な意味できれいなのはノアールで【鑑定】して知ってるんだけど。
「で? ハティには?」
カディが馬の手入れをするハティを見ながら聞いてくる。
「コソコソするの、面倒だし。
あ、カディの馬もブラッシングし始めた。馬好きなのね――ミナとファレルの乗ってた馬にも順番待ちされてるみたいだけど。
「まろ?」
「……一人称です。僕あたりが無難?」
却下される前にカディに通じなかった!
「普通に私って言えねぇのかよ」
「女の子っぽくてやです」
お胸が好きな健康男児です。
「その説でいくとハティ殿も女の子っぽいということになりますが……」
「ああ!」
ファレルの言う通り、ここで一人称が私なのがミナ以外にもう一人いましたね!
「モテるには段差と顔と私! 馬にモテるのは困るけど!」
なるほど一人称が私というか、女性相手には少し丁寧に話せばいいんですね、さては?
「何を目指してんだか分かんねぇ。とりあえず隠れ里のことはハティに言っていいんだな?」
「はい」
カディの確認に肯定の返事をする俺。
箱庭と俺が勇者で聖女なことはバラそう。バラさなくても結局ずっとついて来そうだし。ノアールのことだけ厳重秘匿ですよ。
そう決意したんだけどね。
「……こねぇな」
カディ。
「出発しましょうか」
ファレル。
「もう移動しながらでいいだろ」
ミナ。
馬と戯れてて焚き火にこない男なんですよ、ハティは! 川の水飛沫と合間って無駄にキラキラしてますよ!
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