第13話 買い物

カディとハティはパルムに依頼、そして魔法使いのスカウトに。できれば魔法使いは二人欲しいそうだ。


パルムに頼むなら、剣を回収して来てくれってミナが頼んでた。レッサードラゴンの亜種に腕を砕かれたときに落としたままなんだそうだ。


パルムなら場所を知っているから、本当はギルドを通して正式に依頼したかったらしいけど、依頼料どころかギルドへの手数料もないからって。立て替えるか聞いたら悩んでた。


魔法使いだけで、僧侶かなんかはいいのかって思ってたら、この世界、回復の使い手は少ないんだって。


わざわざ危ないところ行かなくても、神殿や治療院にいれば怪我人が来て金を落としてくから、迷宮に行く物好きはほとんどいないらしい。


そして薬でどうにもならないような怪我はミナみたいにぼったくられる。高いけど早く治せば後遺症もないから、一時的に奴隷になっても魔法を選ぶ人は多いんだそうだ。


普通の医者でもある程度までの怪我は普通だけど、普通の薬で治らない怪我や病気はびっくりするほど高い。魔法治療の代金は推して知るべし。


……回復、俺も使えるんだけど。さすがに誘拐フラグが町を移動しても追って来そうで、黙ってることを選ぶ。


俺とミナは買い物中。迷宮装備はもちろん、どっちも日常生活に足りてないものがたくさんある。


マント、パンツ、靴下。着替え用の古着……


================

ローブ

少し丈夫なウールのローブ

迷宮で拾われた物

================


 なんというか早く裁縫したくなりました。迷宮で拾って来って、意味深すぎるでしょう!? 


迷宮の拾い物は半月ギルドで掲示されて、期間中、持ち主は価値の十分の一を払って引き取る権利がある。現れなければ拾った人の物で、よくこうして売りに出てるそうだ。


庶民は布買って自分で作るから、新品はあんまり売ってないんだって。王都とか行けば別らしいけど。


売り物の柔らかい布を広げて見ながら【裁縫】はあるものの、俺に作れるんだろうか? と迷う。パンツくらいは新しいものが欲しいんですよ、と思いながら見てたらなんかパンツの形に線と点線が見えてきた。


 才能? 才能のおかげ? これがもしかして天才彫刻家とかが石の中に彫るものが見えているぜ状態? 見えてるのパンツだけど。


 布と糸、裁縫道具を買いました。あと迷宮の説明が出てこないマント、これは野営の時に毛布替わりにもなるやつ。


「鞄は腰ベルト付いてたほうがいいぞ。肩掛けだけだと走ったとき暴れる」

とのことなんで、肩掛けで腰にも留められるやつ。腰ベルトに回復薬下げられたり、ウェストポーチになってるのもある。


さすが迷宮都市機能的なものが多い、幼女サイズはないけど! 迷った末、ウェストポーチがついてて皮の水筒もセットのにした。


軟膏、皮の手入れ用クリーム。保存食に固いピタパンみたいなやつ、炒り豆、チーズ、干し肉、干した果物。ハティが持ってた水か湯を注ぐとスープになるやつ。


そして謎の粉。あれです、栄養価が高い実を粉にしたものなんだけど美味しくないって。これは本当に非常食。


「浅い層ならこのくらいかな? 私のも買って貰って良かったのか?」

「装備のうちってことで」

普段着の替えの入った麻袋に目を落としているミナに答える。ミナの普段使うものの他に俺のものも大部分というか鞄以外を持ってもらっている。


 女性に荷物を持たせているのは情けないけど、下手をすると俺ごと持ってもらう状態になるからね! ミナは戦士なので力持ち、全部持っても平気のようだけど。


 正直に言うと、自尊心の回復の意味もちょっとあって、ミナの分も払いました。


それにしても履く人が確定している下着はまだ商品だろうか、エロ物件だろうか?


 時間が大分早いけど、俺の体力的にキツイので宿へ。いろいろ買ったけど、魔力回復とか回復薬は店舗を構えてるお高い店にあるそうで、今回はお目にかかれなかった。


 宿屋は酒屋の二階、ハティとカディの分も頼まれてる。とってくれたのはミナだけど、先払いだから会計は俺。


 酒屋がやってる宿は基本個室があるんだけど、他は貴族が利用するような高級なとこは別として、大部屋雑魚寝か三段ベッドがたくさん並んでるとかが多いって。ごはんは持ち込み。


 迷宮都市は酒屋も宿も多いので寝ぐらに困ることはまずないみたい。衛生面怖い気がするけど!


「部屋にいるから自由にしてていいよ?」

ベッドと言う名の藁束を並べた台に、買って来たものを広げながらミナに言う。


「おう! じゃあちょっと友人に現状を伝えてきていいか? 一刻で戻る」

「どうぞ〜」

「声をかけられても開けるなよ? 誘拐されるから」

ミナは真面目な顔で注意をしながらもどこか嬉しそう。自由時間は嬉しいよな、俺も自由時間だ。


 ミナは俺が内側から鍵をかけるのを確かめてから部屋の前を離れた。用心深いね!


 さて、ノアールのハンター登録にゆこう。窓あるし窓から出ようか、二階だけど。


 一刻は日の出から日の入りまでを六等分、もしくは夜を六等分した時間だそうだ。季節によって時間の長さが違って、時刻は神殿とか城が鐘を鳴らせて知らせる。


 まあ、二時間くらいなのかな? とりあえずさっき鐘が鳴ったばかりなので、ギルドに行って帰るくらいは平気、買い物する余裕もあるだろう。さっきノアールの分も目星はつけといたしね。


 使えるお金を財布という名の袋から出して、いざ、ノアールに。


そして床に崩折れる俺。


ロゼ!なんで胸もんでるんだ!?いや、俺なんだけれども。幼女なら許される気がして歯止めが……。


中身の年齢がバレたらやばい気がする。絶対同一人物とバレないように、最悪別人格だといい抜けよう。


やらかしに悩んでいても仕方がない。やることをやろう、時間は有限だ。


この酒場もそうだけど、カバラの家は道にギリギリに建っていて、裏に庭がある。この部屋は裏庭に向かって窓があるので都合がいい。気配を探りつつ見られないよう用心して出る。


 ノアールの身体能力に感動しつつギルドへ。幼女じゃこうはいかない、何せ下手すると歩いてるだけで体力が減る。


 窓口でさっさと登録を済まして口座もつくる。ただ、お金はほとんど入れてない。やると絶対目立つ。大金預けたのはどう考えてもハティだから許容されてたことだ。

 

 ノアールは保護者がいないんだから目立ちません、目立ちませんよ! 幼女が目立ちすぎて、うっとおしくなったらノアールになって埋没する予定だし。


「あら坊や、きれいな顔してるわねぇ」

「ありがとう」

色っぽいお姉さんに話しかけられたけど、お礼を言って止まらずにスルー。褒められても今の姿は理想から遠いから嬉しくないのだ。俺の筋肉、俺の筋肉が!


 最初はちょっとノアールで町を回ってゆっくりするつもりだったんだけど、ミナの気が変わって早く帰って来たらどうしようとか、ドキドキしてダメだった。急ぎ足で買い物を済ませて宿に帰った。


 買って来たのはギルドで薬草と簡単な薬の作り方の本、あとは露店と雑貨屋を回って幼女と同じような装備を揃えた。またいつ脱走できるかわからないけど、準備だけはしっかりと!


 で、幼女で【空間拡張】ですよ。まずはノアールの鞄にどんと! そして【鑑定】。


================

魔法鞄

見かけより四倍の容量がある

================


 ……そうだよね、魔力まだ128だもん。というかレベル6だもん。ちょっとどこかでアホみたいに容量が大きくなるの期待してた。

 

 幼女用の鞄も【空間拡張】。ただし、元が小さいので四倍になってもそんなに入らない。あと、重さがね。


 ノアールの鞄には毛布を底に詰めたあと、買って来た荷物を入れ終了。毛布という名のマントだけど、野営の時とかお世話になる予定。もう一回ノアールになって装備、幼女にもどることで買い物の痕跡はなくなる。


 ところで幼女とノアールで鑑定結果が違うことが分かった。ノアールで薬の鑑定をすると材料も結果に出る、あと料理も。

代わりにノアールで布を見てもパンツは浮かばなかったので、やっぱり才能で差が出るみたいだ。


 とりあえずトランクスを二枚。ゴムがないので紐で結ぶ方式、前を開けたけど、幼女には息子がついていないことに気付いた。まあいいか、新しいのを作るにはすでに指痛いし。


「おう、おとなしくしてたみたいだな?」

ちょっと急いで帰って来たらしいミナが言う。はいはい、脱走してましたよ。


「なんか怪しい黒ずくめがうろついてたって言うし、ちょっと焦った」


 ……。それは窓から入るために人が途切れるのを待ってうろついてたノアールのことな気が。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る