第12話 いざ街へ

シキ達3人はは冒険者の案内で森の中を駄弁りながら歩いていた。そして当然の様に自己紹介の流れとなり、冒険者達が先に名乗り始めた。


「俺達はこの四人で冒険者でパーティーを組んでいる。俺は一応パーティーリーダーって事になってるクリストだ。剣士をやっている」


やはり最初に交渉していた若い剣士、もといクリストがパーティーリーダーだった様だ。

続いて三十代後半辺りの大剣を担いだ男が名乗る。記憶が確かならポーションで回復させた怪我人だ。


「俺はアーデルベルト、見ての通り大剣使いの戦士だ。お嬢ちゃん達が助けてくれたんだろう?ありがとな」


筋骨隆々な見た目とは裏腹に人懐っこい笑みを浮かべながら自己紹介する様子に此奴は悪い奴ではなさそうだと評価するシキ。


そして残りの女冒険者が二人続ける。


「私は魔剣士のミリアム。見ての通りエルフよ」


「わ……わたしは……白魔術師の、オティーリエ……です……」


勝気そうな赤髪のエルフがミリアム、黒髪の少女がオティーリエと名乗った。


一通り名乗り終わった冒険者達がシキ達に今度はお前達の番だとばかりに自己紹介を促す。


それに答えるようにシキ、ハクノ、之布岐の順で名乗る。


「ワシの名はシキじゃ。主な攻撃手段は刀と拳を好んでおる。」


「ボクはハクノ。拳で闘うよ」


「俺は之布岐。弓と刀を使う。こんなナリだが怪しい者ではない……そんな警戒しないでくれ」


最初は之布岐を警戒してたクリストも会話していくうちに之布岐が悪い者ではないと判り、警戒を解いた様だった。


「ところでお主らは何故この森に来たのじゃ?」


ふと疑問に思い聞いてみるシキ。


「あぁ、ギルドマスターからの依頼でな、最近この森が異様に静かだそうで、その調査で俺達が此処に来たって訳だ」


「成程のぅ……」


理由を聞いたシキだが心当たりがあった。恐らく自分達のせいだろう。


これまでシキ達は周囲をその存在感で無意識に威圧していた。それに気付いたのはクリスト達に出会う少し前でそんな状況では野生動物も魔物も大人しくなるだろう。


急に黙ったシキを心配したのかミリアムが話しかけてくる。


「大丈夫?シキちゃん」


「む?うむ、ちと考え事をしておった」


「ふーん。そういえばシキちゃんって獣人なの?白い狐獣人なんて見たことも聞いたこともないけど」


「そうなのかえ?まぁワシ自身種族なぞわからぬからのぅ」


「嬢ちゃん達は謎だらけだな」


「むぅ……そうじゃのぅ……」


急に割り込んで話しかけてきたアーデルベルトに若干驚きつつも返す。


割り込まれてムッとしたミリアムが話を変える。


「ずっと気になってたんだけど、之布岐のその被り物……なに?」


「あぁ、本人曰くキャラ付けだそうじゃ。家ではワシらの前で素顔じゃしの。のう?ハクノや」


「そだね。でもせっかくかっこいい顔なのに隠しちゃうのは勿体無いかも」


「へぇ〜……そういえば3人ってどんな関係なの?兄妹には見えないけど……もしかして……そういう関係?」


ニヤニヤしながら聞いてくるミリアムと興味が有りそうなオティーリエに手をひらひらさせながら答える。


「違う違う。只の、そうじゃな、家族の様なものじゃ。じゃよな?ハクノ」


「そういう関係……はう!……う、うん!そうだよ!家族だよ!」


ハクノに振ると顔を紅くしてモジモジしていたので小突いてやると焦った様に言うので、ミリアムのニヤニヤがより深くなる。


女三人寄ればなんとやら、三人どころか四人の女性陣は和気藹々と道を進んで行く。



一方仲間外れの男性陣も意気投合したらしく、あの中の誰が好みだとかで盛り上がっていた。

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