第11話 はじめての実戦
駆け出したシキは剣士らしき人物の近くにいた灰狼4体の首を落とす。
怪我人が居るのを確認し、納刀してからHPポーションⅴを投げ渡す。
「これを怪我人に振りかけよ。毒ではない、安心せい」
ポーションを受け取った男は怪我人に恐る恐るといった様子で振りかける。すると怪我が治っていった。
ちゃんと効果が出たのを見て満足したシキが先程から煩わしい狼共を掃除してやろうと足を進めると怖気付いたのか後退りする狼。しかしそんな狼の側頭部を矢が貫通し絶命した。之布岐の一撃だろう。
そんな之布岐の支援もあって、直ぐに狼は全滅した。
狼の殲滅を確認したシキは血振りをして納刀し、ハクノと之布岐を待つと直ぐに近くの茂みから出てきた。
「ハクノ、周囲に敵影はあるか?」
「大丈夫だよ。索敵にはひっかからなかった」
「ならばよし。二人ともご苦労じゃったの」
二人を労っていると剣士の男が話しかけてきた。
「ありがとう。君達が来なければアーデルベルトだけでなく俺達までグレーハウンドに殺されていた。礼と言っては何だが俺達に出来る事があればなんでも言ってくれ」
「ん?今何でも──へぶぅっ!」
「やめい。こほん……ならばワシらを近くの街の冒険者ギルドに案内せい。」
巫山戯るハクノに軽くチョップをいれ、気を取り直して案内を頼む。すると拍子抜けした様に聞き返してくる男。
「それだけでいいのか?」
「ならお主らが払いたいと思う額の金を貰おうかの。ワシらはこの世界の相場を知らぬ故今なら多少安くても構わぬ」
「む…少し待ってくれ。仲間と相談してくる」
流石に要求が案内だけだと怪しまれると思い適当な金を貰うことにしたが、要求が適当過ぎた様で、男は少し唸り仲間のもとに駆けて行った。
暫くすると相談も終わった様で、先程の男が話しかけてきた。
「金貨4枚、4万リド。それが俺達の答えだ。受け取ってくれ」
そう言われシキは思案する振りをする。先程相場を知らないと言ったが嘘である。実際は金なぞ持ち物を売ればどうとでもなるし特に興味が無かったので冒険者の男に判断を全て委ねたのだ。スキル「叡智」の効果で金の相場を調べてみると金貨、即ち1万リドは日本円換算で10万円程、前世の価値観からすれば人の命がたったの40万円であることになるが所詮此処とは別のセカイの事と割り切る。
「ふむ、金貨4枚、確かに受け取った」
男から受け取った金貨を確認し亜空間へ放り込みハクノと之布岐を呼び戻し、男に案内を促す。
こうして男のパーティーの先導で街への道を進んで行くシキ達であった。
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