458 新装備ですよ
まずは真っ白なガスマスクのようなシロモノにタブレットをかざす。
……。
名前:スノウゴーグル
属性:氷
品質:高品位
スノウタイガーの毛皮を使って作られたゴーグル。吹雪に強い。
?
ん?
珍しいな。属性の項目がある。今まで属性が表示されたのは蕾の茨槍くらいじゃあなかっただろうか。吹雪対策なのか氷属性がついているみたいだし、凄く良い物なのだろう。うん、凄いな。
……。
それはいいんだよ。
スノウタイガーの毛皮ってどういうことだ? 今、俺の目の前にあるのはマスク付きのゴーグルだ。一見したらガスマスクとしか思えないようなゴーグルだ。それの何処に毛皮を使っているんだ? まさかマスク部分か? 口に当てるような場所に毛皮が使われているのは勘弁して欲しいなぁ。
……。
まぁ、なんでも魔法でポンッと出来てしまうような世界だ。あくまで素材がそれだというだけなんだろう、多分。
……。
えーっと、アレだ。気を取り直して、と。
次は猫耳フード付きのマントだな。
タブレットをかざしてしばらく待つ。
……。
はい、出ました。
名前:スノウガーヴ
属性:氷
品質:高品位
スノウタイガーの毛皮を使って作られたガーヴ。吹雪に強い。
……。
うーむ。
ゴーグルの説明をコピーしたかのような感じだなぁ。
どう突っ込んだら、何処から突っ込んだら良いのか分からない。分からないが、とりあえずこれも属性付きなんだな。属性が付く法則ってどうなっているんだろうなぁ。リンゴが持っていた斧は名前の後ろに追加効果が表示されていた。蕾の茨槍に変化する前の、草紋の槍は魔力が込められている、という感じの解説だったよな? ミルファクが以前の鍛冶場に置いていた、いかにも魔法が込められていそうな作品も火の力が封じ込められている、とか、そんな解説だったはずだ。
属性の項目があるのは珍しいよな?
なんで、今回だけ属性の項目があるんだ?
ホント、法則が分からないなぁ。
で、だ。こいつもスノウタイガーの毛皮から作られているんだな。この島ではスノウタイガーなんて名前の魔獣は見かけたことが無いけど、ミルファクは何処から、この素材を持ってきたんだろうな。
ミルファク自身もそうだが、ホント、謎ばかりだ。
で、こいつはマントでは無くガーヴになるのか。ガーヴってどういう意味なんだ? スノウな服装とかそういう感じの意味だろうか。うーむ、良く分からないなぁ。
……。
次だな。次が最後。真っ白なブーツだな。なんとなく鑑定前から結果が予想出来るけど、とりあえず確認しておこう。
俺は膝くらいまでありそうな白いブーツにタブレットをかざす。
……。
んで、結果は、と。
どれどれ。
名前:スノウブーツ
属性:氷
品質:高品位
スノウタイガーの毛皮を使って作られたブーツ。滑らない。
お?
予想外の結果だ。てっきり他二つと同じ内容かと思ったが、違っていたな。このブーツは吹雪に強くないようだ。しかもなんと! 滑らない!
……。
そうか、滑らないかぁ。
それってどうなんだ?
凄いのか? 凄くないのか?
良く分からないな。
で、だ。
こいつも予想通りスノウタイガーの毛皮で作られているんだな。もこもことしているし、ゴーグルやガーヴよりは、いかにも毛皮で作られていますって感じだもんな。ま、まぁ、毛皮が使われていることに関しては納得だな、うん。
……。
素材、か。
多分さ、これ、この解説文に表示されているのってさ、メインに使われている素材が、という意味なんだろうな。メインというのは、その素材の分量が多いとか、そういうことではなく、素材の中での優先度が高いとか、素材の中で一番貴重だとか、そういうことなんじゃあないだろうか。じゃないとさ、ゴーグルなんて、何処に毛皮が使われているか分からないレベルだしさ。
……。
ま、まぁ、とにかく、身につけてみよう。
俺の新装備だな。
もそもそ、もぞもぞと着替える。
よし、装着っと。
――[サモンアクア]――
水を生み出し、それを鏡代わりにする。
……。
全身真っ白だな。
うんで、だ。
これは、なんというか、ガスマスクを付けた小さな女の子が猫耳の雨合羽を身につけているって感じだな。ブーツも少し大きくて、長靴を履いているみたいだし、ガーヴも毛皮というより皮だから……。
なんというか、ホント、雨の日の学校帰りの小学生って感じだ。
……。
自分で言っていて、なんというか、アレだなぁ。でも、そうとしか見えないぞ。違いがあるとすれば、ガーヴの下からチョロチョロと動く尻尾が見えているってことくらいか。
……。
これ、防御力とかはどうなんだろうなぁ。ゲームみたいに数値で分かるワケじゃあないからな。鑑定ではそこまで分からないもんな。簡単に切れるとか、裂けるとか、そういうシロモノだと困るなぁ。
まぁ、最悪、魔力を纏わせて使えば、脆くてもなんとかなるか。
よし。とにかく、だ。
これで雪に対する装備は整ったな。
さっそく出発しよう。
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