10 放射線って、なんだ?

 3.11で、しかも福島県のエッセイということで、避けられないのが原子力に関する話題ですが、おそらく福島県民ですらあまり詳しくない人の方が多いのではと思われるので、基礎知識として関連するものだけを取り上げました。私も震災後原発に関する学習や取り組みに関わることがなかったので、放射線などに関してはほぼ素人も同然です。

 今回はJAEA・核燃料サイクル工学研究所『原子力の基礎知識』および福島県庁『ふくしま復興ステーション』、消費者庁『食品と放射能Q&A』(2018)の資料を基にしています。



【放射線・放射能・放射性物質……違い、わかりますか?】

放射線:ウランなどの原子核が壊れたときに飛び出す電子や中性子などの粒子、 

 エックス線やガンマ線などの電磁波

放射能:放射線を出す能力。名付け親はキュリー夫人。

放射性物質:放射線を出す物質、つまり、放射能をもつ物質


 たき火に例えると、放射線が「熱」、放射能が「火」、放射性物質が「薪」となります。



【放射線の単位、どれがどれだか……】

Bq(ベクレル):1秒間に崩壊する原子核の数を示す。つまり、放射性廃棄物などに含まれる放射能の量。放射性物質に、どのくらい放射線を出す力があるのか

 ※1Bq=一つの原子核が1秒間に壊変すること


Gy(グレイ):物質や人体の組織に、放射線のエネルギーがどのくらい吸収されるの

 か

 ※1Gy=重さ1kgの物質が1J(ジュール)のエネルギーを受けること


Sv(シーベルト):人体が放射線によって、どのくらい影響を受けるのか。エックス線

 を用いた検診や自然界からの放射線による被ばく量を示す時に使われる。



【「外部被ばく」と「内部被ばく」】

内部被ばく:体の外にある放射性物質等から放出された放射線を受ける

 こと。放射性物質から離れれば、被ばく量が減る(例えば、距離

 が2倍になれば被ばく量は1/4)。


外部被ばく:放射性物質が体内に取り込まれ、体の中から放射線を受けること。食

 べ物などの経口摂取、空気からの吸入摂取、皮膚からの経皮吸収、傷口からの創

 傷侵入の4通り。



【放射線の人体への影響】

 放射線による影響は、放射線の「有無」ではなく「どのくらいの量」を「どのくらいの期間」で受けたかによります。

 以下、mSv(ミリシーベルト)別人体への影響(JAEA)。


①全身に受けた時

0~150mSv:臨床症状は確認されず。

500mSv:白血球の一時的現象

1,000mSv:吐き気や倦怠感

7,000mSv:死亡


②皮膚に受けた時

3,000mSv:脱毛症状が出る

5,000mSv:皮膚が赤くなる

8,500mSv:水ぶくれ、ただれが出る

10,000mSv:腫瘍ができる



【ただし……身の回りにも放射線はあります】

自然放射線:日常生活の中で受ける放射線のこと。被ばく量は世界平均で2.4ミリ

 シーベルト程度。土地の地質や標高によっても差があり、日本国内の年間平均値

 が1.5ミリシーベルト程度であるのに対し、ブラジルのガラパリ市街地では10ミリ

 シーベルト程度もあります。


人工放射線:エックス線を用いた検診や原子力施設などからの放射線。


 また、人間や動物の体内にも、体を作る元素としてカリウム40や炭素14などの放射性物質が一定数含まれています。



【検査について】

食品におけるモニタリング検査

 原子力災害対策本部が定めた「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除

 の考え方」(平成29年3月24日改正)に基づいて、各都道府県で検査計画を策定し、

 実施されている検査。

 この検査での対象県は青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、茨城

 県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、新潟県、長野県、山

 梨県、静岡県であり、各地域のホームページで検査結果が公表されています。


 ただし、消費者庁の資料にある「食品中の放射性物質から受ける放射線量」データでは大阪府、高知県、長崎県と西日本地域も含まれており、各都道府県でそれぞれ放射線などの問題へに取り組んでいます。

 日本全国の空間線量についても各都道府県のホームページを見るか、原子力規制委員会『放射線モニタリング情報』にある「放射線量測定マップ」で公表されています。



【福島県の除染状況はどうなっているの?】

 風向きや土地にもよるせいか、2011年4月時点ではいわき市より中通りの方が線量が高かったことも。現在では大幅に減少し、帰還困難区域、つまり原発周辺地域以外は1.0μSv(マイクロシーベルト)以下となっています。

 ※1Sv=1,000mSv=1,000,000μSv


除染特別地域:積算線量が年間20ミリシーベルトを超える恐れがあるとされた「旧

 計画的避難区域」と、福島第一原子力発電所から20km圏内の「旧警戒区域」。現

 在でも除染が行われています。

 該当地域は飯舘村、葛尾村、川俣町南部、南相馬市南部、浪江町、双葉町、大熊

 町、田村市の一部、川内村の一部、富岡町、楢葉町


汚染状況重点調査地域:追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以上の地域を含む市

 町村。2018年3月で面的除染が全て終了しています。

 相馬郡、広野町、いわき市、中通りの大部分、会津坂下町、会津美里町、河沼郡

 湯川村が該当。


除染実施計画策定市町村:除染実施計画を策定し除染を進めている市町村

 汚染状況重点調査地域と同地域が該当。


 このうち、除染特別地域に関しては国が除染実施計画を策定し除染を行い、汚染状況重点調査地域(市町村除染地域)に関しては市町村が除染実施計画を作成し除染を行っています。


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