9 データでみる3.11③被災状況

 ここでは、各都道府県の被害状況を消防庁災害対策本部『平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について (第159報)』(2019)や各県の情報をもとにまとめています。原発事故や風評被害に関しては各県のホームページにて農畜産物の検査結果を公表する、放射能に関する特設サイトを設けるなどして対応されていますのでそちらをご覧ください。なお放射能の測定値に関しては被災県以外でも日本全国47都道府県で行われている

 建造物被害の住家については、全壊・半壊・一部損壊等の被害を全て含んだ大まかな数を記載しております。

 


【北海道】

死者:1名

負傷者:3名

行方不明者:なし

建造物被害:住家885棟, 非住家469棟

火災:4件



【青森県】

 震度5強~3だった青森県も被害が大きく、避難所も開設されていました。まだ寒い時期に被災し停電にもなってしまったため、練炭で暖をとろうとして一酸化炭素中毒になるケースもあったようです。

 青森県も被害報道が少なかったせいなのか、おそらく支援に関しては「大変な時に助けていただいた」というような特別な想いがあるのでしょう――青森県の震災記録誌は支援についての章があるのが特徴的です。


死者:3名

負傷者:110名

行方不明者:1名

建造物被害:住家2,014棟, 非住家1,402棟

火災:11件



【秋田県】

死者:なし

負傷者:11名

行方不明者:なし

建造物被害:5棟(住家のみ)

火災:1件



【岩手県】

「逃げなかった人にも非がある」という方にぜひ見ていただきたいのが、『いわて津波震災アーカイブ』内にある犠牲者の行動記録。指定避難場所だった学校や市民会館、体育館、防災センターに避難して被災した方の記録もありますが、この場合はどうしろというのでしょう? 自分の居住地域の公的避難所すら大丈夫かどうか疑わなくてはいけないことになります。

 3.11以降、被災県以外も避難所の見直しはされたのでしょうか? 

 高台だから、あるいは過去の災害で大丈夫だったから、という理由でその場に留まった方もいますが、お年寄りや体の不自由な方ならなおさら、動かない方を選択してもおかしくありません。特に高台にいる場合はまさか津波が自分たちのいる場所まで到達するとは思わないでしょうし、他にどこに行けばよかったのでしょうか? もちろん、避難したくても動けなかった方も大勢いたでしょう。

 同サイトでは各地の被災状況もわかりやすく説明されていますが、震度4だった洋野町、久慈市(震度5弱地域もあり)、田野畑村、岩泉町でも高い津波が押し寄せているということがより理解できるかと思います。


死者:5,141名(災害関連死含む)

負傷者:213名

行方不明者:1,114名

建造物被害:住家45,149棟、非住家4,707棟

火災:33件



【宮城県】

 震源地からも近く、最大震度7を観測した宮城県。津波被害・火災・ライフライン被害・液状化などで甚大な被害を受け、社会福祉協議会の被災によりボランティアの受け入れにも時間を要しました。

 震度6弱だった仙台空港の被災映像を覚えている方がいるかもしれませんが、この仙台空港の被災や道路の寸断もあり、宮城県も物資不足に陥っていました。私の個人的に親しい仙台在住の方は当時「マンションの天井が落ちて来た」と語っており、沿岸部じゃなくても揺れだけで大きな被害があったことを知りました。

 宮城県はインターネット上でも震災情報を提供していますが、日本語、英語での記録誌や映像が充実しています。


死者:10,565名(災害関連死含む)

負傷者:4,148名

行方不明者:1,221名

建造物被害:住家470,132棟(女川町、南三陸町に関しては床下浸水数不明)、非住家

 26,796棟

火災:137件



【山形県】

死者:3名

負傷者:45名

行方不明者:なし

建造物被害:住家1,263棟, 非住家132棟

火災:2件



【福島県】

 沿岸の一部地域と中通りの一部地域で震度6強、その他地域で震度6弱~3と幅広く、地域差が生じています。原発事故の影響もあってか震災・復興情報はかなり充実しており、『ふくしま復興ステーション』は英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語に対応しています。

 なお、消防庁曰く「福島県の死者・行方不明者数については、他県の計上方法と異なるため、可能な範囲において重複計上や計上漏れを排除し、一部他県との整合を図り計上し直したもの。よって、消防庁と福島県の公表数に違いがある」とのことで、比較のため福島県災害対策本部『平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(第1751報)』(2019)のデータも載せています。


[消防庁データ]

死者:3,868名

負傷者:183名

行方不明者:224名

建造物被害:住家240,683棟, 非住家37,892棟

火災:38件


[福島県データ]

死者:4,097名

震災関連死:2,268名

負傷者:183名

行方不明者:2名

建造物被害:住家240,683棟、非住家37,892棟

火災:38件

県内への避難:8,655名

県外への避難:32,631名



【茨城県】

 県内すべての市町村で震度6強~5弱を観測、さらに本震の約30分後には茨城県沖を震源とする余震とみられるマグニチュード7.7の地震が起きたこともあって、甚大な被害をもたらしました。この余震は茨城県にとっては本震と同程度であるため、立て続けに大きな揺れに見舞われたことになります。

 関東圏は大きな地震、特に茨城県は震度6強、6弱という東北三県と同程度の揺れを経験しながらも被害状況は報道されず、計画停電にも巻き込まれるということで、かなり辛い状況だったはずです。せめて、8年目となった今年は関東圏の被害状況にも注目していただきたいと願っております。

 また、南海トラフや首都直下地震を危惧する方が増えている中、関東圏の方々も「私たちの地域も大きな被害を受けた、あの時はこうだったからこうした方がいい」と、強く発信していく必要があるのかもしれません。


死者:66名(災害関連死含む)

負傷者:714名

行方不明者:1名

建造物被害:住家219,590棟、非住家22,596棟

火災:31件



【群馬県】

 桐生市で震度6弱、その他地域で震度5強~3を記録。建造物被害は半壊と一部損壊が多数を占めており、道路・河川から公共施設や文化財などにも被害が生じました。補償という点で考えれば、全壊より半壊や一部損壊の方がある意味大変であるという声も聞きます。

 群馬県など同じく被害を受けた地域の震災記内にある被災地支援に関する記述を読むと、個人的には自分たちも被害を受けて大変な中申し訳無かったなという気持ちになります。群馬県など福島県以外の地域における記録でも原発事故や風評被害について記述されているため、「やっぱり福島だけ原発・風評被害の応援があるのはちょっとなあ……」と感じます。

 群馬県では2018年に草津白根山の噴火もあったため、二重の意味で風評被害に苦しんでいるとも言えるでしょう。


死者:1名

負傷者:40名

行方不明者:なし

建造物被害:17,686棟(住家のみ)

火災:2件



【栃木県】

死者:4名

負傷者:133名

行方不明者:なし

建造物被害:住家76,319棟、非住家10,423棟

火災:なし



【埼玉県】

 宮代町で震度6弱、その他地域で震度5強~3を観測。最も被害が甚大だったのは春日部市とされていますが、その他の地域でも液状化などで被害が生じました。加須市、久喜市、幸手市、吉川市においては液状化被害について公式ホームページで知ることができます。


死者:1名

負傷者:104名

行方不明者:なし

建造物被害:住家16,734棟、非住家95棟

火災:12件



【東京都】

死者:8名

負傷者:119名

行方不明者:なし

建造物被害:住家6,813棟, 非住家1,205棟

火災:35件



【千葉県】

 東京ディズニーリゾートの液状化が注目された千葉県ですが、震度6弱を記録したのは成田市と印西市で、浦安市は震度5強でした。最大余震となった本震から30分後の茨城県沖地震では、千葉県は最大震度5弱に見舞われ、続けて襲う地震の影響もあってか、液状化だけでなく火災も発生しています。

 ライフラインのみならず公共施設や文化財、交通、農林水産業の関連施設も被害を受けていますが、やはり他の関東圏と同じく報道が少ないせいか、千葉県の被災状況を知っている方はあまりいらっしゃらないような気がします。

 千葉県も震災の記録はかなり充実していますので、千葉県公式ホームページの震災記録を一度閲覧することをお勧めします。


死者:22名(災害関連死含む)

負傷者:261名

行方不明者:2名

建造物被害:住家66,911棟、非住家839棟

火災:18件



【神奈川県】

死者:6名

負傷者:137名

行方不明者:なし

建造物被害:住家500棟, 非住家13棟

火災:6件



【新潟県】

死者:なし

負傷者:3名

行方不明者:なし

建造物被害:住家17棟, 非住家9棟

火災:なし



【山梨県】

死者:なし

負傷者:2名

行方不明者:なし

建造物被害:住家4棟, 非住家2棟

火災:なし



【長野県】

 3.11では震度5弱、停電や断水が起きていました。ライフライン被害はもちろん、陥没や雪崩の発生により交通が麻痺、一時期は孤立した地域もあり、JR東日本飯山線の一部区間では一ヶ月以上不通、同年4月29日に運転再開となるなど影響を及ぼしました。


死者:なし

負傷者:1名

行方不明者:なし

建造物被害:なし

火災:なし


 長野県は3.11より3月12日に起きた長野北部地震による影響の方が大きいのですが、3.11の影に隠れて報道が少なかったこともあり、今回は3.11の関連として長野県危機管理部『長野県北部の地震による県内への影響について』(2012)より長野北部地震のデータも載せています。


2011年3月12日 3時59分

震源:長野県北部 北緯36度59.1分 東経138度35.8分 深さ8km

マグニチュード:6.7

最大震度:6強(栄村北信)


死者:3名(災害関連死)

負傷者:12名

行方不明者:なし

建造物被害:710棟(住家のみ)

火災:なし



【静岡県】

死者:なし

負傷者:3名

行方不明者:なし

建造物被害:18棟(住家のみ)

火災:なし



【三重県】

死者:なし

負傷者:1名

行方不明者:なし

建造物被害:2棟,(住家のみ)

火災:なし



【大阪府】

死者:なし

負傷者:1名

行方不明者:なし

建造物被害:3棟(非住家, 公共建物)

火災:なし



【徳島県】

死者:なし

負傷者:なし

行方不明者:なし

建造物被害:11棟(住家のみ)

火災:なし



【高知県】

死者:なし

負傷者:1名

行方不明者:なし

建造物被害:10棟(住家のみ)

火災:なし

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