第5話 レスレクシオン到着

脚注


レスレクシオン

スレイヤー達の住む島。


アンノブル

レスレクシオンの民。女性だけを指すときはスレイヤー、男性を含めるとアンノブルと呼ぶ。


オルディ

アンノブルがアンノブル以外を指すときの俗称。ハ○ポタでいうマグルみたいなもの。


テクニカ

スレイヤーが操る魔法。


◇◇◇


レスレクシオンの港に着くとパスポートを提示、ビザを提出し、滞在許可証を受け取る。

第一歩を踏みしめ、ブルブルと身震いをする。


「う~~~~~着いたーーーー!」


大げさに万歳をしてみせる。

一瞬周りの視線を集めた。

すると後ろからサラを追い越し歩いて来た女性が、おもむろに杖にまたがるとゆっくり宙に浮かんだ。


「うおおおおおおおお!!!」


仰々しくその人を注視する。

その人も視線に気づいたのか、サラの方を見る。

そのままウィンクするとヒューンと空の彼方へ飛んでいった。


「ス、スレイヤーだ・・・!」


空の方をよく見ると、確かに杖に乗った人達が行き交っていた。

スレイヤーの島に着いたのだとサラを実感させた。


サラのいる場所は西の港。

千年樹は島の北に位置し、島のどこからでもその姿を容易に確認できる。

船からはよく分からなかったが、ここからなら葉が青白く光っているのが分かる。

決してまばゆい光ではない、それゆえに神々しさを放っていた。

サラは拳を千年樹に向け


「私、やったりますよ~!」


意気込んだ。


「さて、宿を探して散策するぞ!」


ベルナール高校の入学式は明日。

入学すれば学校の寄宿舎に住まうことになるのだが、今日一日は宿を探さなければならなかった。


町のタクシー乗り場へ向かう。


「宿を探してるんですけど~」


中年のタクシーの運転手の男は物珍しそうにジロジロとサラを見る。

乗りな、と短く告げる。

車を走らせながら運転手は尋ねる。


「お嬢ちゃんオルディかい?」


オルディとはアンノブルがアンノブル以外の人を指すときの俗称である。


「んーと」


サラはちょっと考えて


「今はそうかなぁ?」



男ははぁ?といぶかしむ。


「お嬢ちゃんみたいなオルディがこの国にいるのは珍しいな。ちゃんと入国許可はもらってるのかい?」


「し、失敬な!もらってるよ!」


「ごめんごめん、ただ知っての通りここは観光に来れるような国じゃないからさ」


レスレクシオン国の入国というのは簡単ではない。

観光目的の入国は一切認められていない。

必然的にオルディでこの国に入れるのは各国要人、学者や研究員や医者、配送業者、マスメディアなどの一部の認められた者だけだ。

サラはその認められた留学生だ。


「私、ベルナール高校に入学するの」


キキーッと急ブレーキがかかり、車内が大きく揺れる。


「ちょ、ちょっとおじさん!」


「じょ、冗談だろ?」


運転手は驚きを隠さない。


「オルディがスレイヤーの学校に入学するなんて聞いたことないぞ!?」


「うん。私が初なんだって。」


「オルディがテクニカを使えるわけないだろ!?」


テクニカとはスレイヤーが操る魔法のことだ。


「いや、私―――――」


「っておい!ベルナール高校に入学するっていったな!?」


サラの言葉を遮った。


「入学式もうすぐ始まるぞ!」


「ええーーーーーー!?」

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