第16話 土曜日 その3

伊香牛いかうし 御崎みさき(以下 伊と書きます)「おーい、ぴりかー」

赤井川あかいがわ 美利河ぴりか(以下 姉と書きます)「あらー、御崎ちゃーん、思ったより早

  かったわねえ」

伊「あったり前でしょ?なんたって気合入ってるからねえ」

姉「まあ、言い出しっぺですから、その位の心意気を見せてくれないとねえ」

赤井川 美流渡みると(以下 弟と書きます)「御崎先輩、おはようございます」

伊「あれ?美流渡君も一緒に行くの?」

弟「ち、違います!たまたま行先が同じだけです!」

姉「そんな事ないわよねー、お姉ちゃんと一緒に行きたかっただけだよね」

弟「姉ちゃん、冗談はほどほどにして下さい!」

和寒わっさむ 茂辺地もへじ(以下 和と書きます)「おーい、みるとー」

弟「へ?・・・お前さあ、普段なら遅刻ギリギリか遅刻確定なのに今日に限って何

  でこんなに早いんだ!?」

和「悪かったな!うちの姉二人が揃いも揃って午前5時に叩き起こしてくれたから

  こっちは朝から大迷惑だぞ、はああああ・・・」

弟「そのお陰で待ち合わせに遅刻しなかったのは事実だろ?」

和「うっ・・・ところで美流渡、お前の姉さんの横にいる人は誰?」

弟「あ、そうかあ、お前は知らなかったんだなあ。姉ちゃんのクラスメイトの伊香

  牛御崎先輩だよ」

和「マジかよ!オレ、私服姿の伊香牛先輩を見た事ないから、全然気付かなかった

  あ!!」

弟「お前、何を驚いてるんだ?」

伊「美流渡君、この人、誰?」

弟「あー、そういえば御崎先輩は和寒の事を知らないんでしたね。同じクラスの和

  寒茂辺地。小学校からの腐れ縁ですよ」

和「あー、どうも初めまして。自分は和寒茂辺地です。よ、よろしくお願いします

  (キラリ!)」

伊「あらー、そんなに気を使わなくて結構よー。美利河とは1年生から同じクラス

  の伊香牛御崎でーす」

和「あのー、中学はもしかして別ですかあ?」

伊「そうだよー」

和「あー、それで知らなかったんだあ」

姉「ところでさあ、まさかと思うけど、美流渡も和寒君もエッキーのサイン会に行

  くの?」

弟「はああーーー・・・和寒が僕を自分の姉の代理でタダ働きさせたんだよ」

伊「あらー、美流渡君も災難ね」

和「おい、ちょっと待て美流渡!・・・ま、まあ、ちょーと頼み込んで。本の代金

  は勿論俺が支払いますよ。うちの二人の姉が今日は模試だから俺と美流渡に代

  役をやらせてるだけですから」

伊「あらー、お姉さんの代わりを引き受けるなんて、結構優しいのね」

和「当たり前です!俺は姉の頼みを断ったりしません! (キラリ!)」

弟「昨日はあんなにボロクソに言ってたのに (ボソッ)」

和「みるとー!頼むから口裏を合わせてくれよお」

伊「でもさあ、高校生になってもお姉さんの頼みを聞いてくれる弟は貴重よー。あ

  たしは尊敬しちゃうわ」

和「ありがとうございます。何なら先輩の頼み事も今後は全て引き受けます! 

  (キラリ!)」

伊「あらー、それなら色々と頼んじゃおうかなあー。うちの中2の弟は生意気で全

  然姉を姉だと思ってないからねー」

和「それなら、ますます先輩の為に働かせて頂きます! (キラリ!)」

弟「お前、何で今日に限って腰が低いんだ?」

和「う、うっせー」

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