第13話 再び放課後 その2
和「明日、伊勢国書店へ行かないか?」
弟「へ?」
和「エッキーが伊勢国書店へ来てサイン会をやるんだ」
弟「あー、あの本の発売記念で全国のあちこちの書店でサイン会をやってる一環
だね」
和「そうだ、興味あるか?」
弟「見るだけならいいけど、まさかと思うが僕にも本を買って並べとは言わないだ
ろうな」
和「いんや、本を買う金は出すからお前も並べ」
弟「はあ!?」
和「うちの姉が二人とも『明日は模試があって伊勢国書店に行けないから、代わり
に行ってサイン貰ってこい』とか言って、折角の休日だというのに俺の都合を
無視して伊勢国書店へ行かされる事になったんだよなあ」
弟「お前も姉には苦労させられてるようだな」
和「同情してくれて俺は嬉しいぞ!」
弟「僕が同情するのは『姉に苦労させられている』という1点だけだぞ」
和「それだけでも俺は嬉しい!」
弟「はいはい」
和「でもさあ、オレはお前が羨ましいぞ」
弟「はあ?どういう意味だ?」
和「うちは姉が二人だから、どちらも俺を顎でこき使って自分は左
あ」
弟「ふうん」
和「しかも、二人で別々の用事を押し付け合って、挙句の果てに俺の意見を無視し
てジャンケンで優先権を決めるとかの暴挙を平気でやるんだぞ。お前は一人だ
から、そういう苦労をしなくて済むんだから有難いと思え」
弟「おい、だからと言って僕と立場を代わりたいなどという暴言をここで言うつも
りじゃあないだろな?」
和「ギクッ!・・・さ、さあ、何の事でしょうか?」
弟「はああ・・・まあ、お互い、姉には苦労させられているという事で同情はする
けど、確認の為に聞くけど、明日は僕にタダ働きしろって事だよなあ!?」
和「頼む!このとおりだ!!」
弟「はーーー・・・・いいよ」
和「おお、心の友よ!」
弟「その代わり、月曜日の事前課題と宿題を見せるのはナシだからな」
和「ちょ、ちょーと待ったあ!」
弟「じゃあ、伊勢国書店はお前ひとりで行け。2回並べば済む事だ」
和「・・・わーかった。その程度で済むならお安い御用だ」
弟「それで、どこで待ち合わせる?」
和「
弟「学校へ行く時間とほとんど一緒だから構わないぞ」
和「忘れるなよー」
弟「毎日遅刻寸前に教室へ駆け込んでくるお前に言われたくない!」
和「う、うるせー!」
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