第5話 朝、登校後

朝、登校後


赤井川あかいがわ 美利河ぴりか(以下 姉と書きます)「御崎ちゃーん、おっはー」

伊香牛いかうし 御崎みさき(以下 伊と書きます)「『おっはー』じゃあないわよ!」

姉「気にしない気にしない」

伊「だいたいさあ、幼稚園の頃の流行語を高校2年生にもなって使うってダサくな

  い?」

姉「いやー、今朝は気分が良くてねえ」

伊「気分がいい?何それ?」

姉「じゃじゃーん、『論より証拠』『百聞は一見に如かず』ってところよ」

伊「へ?これって・・・1時間目の古文の今日の事前課題だよね」

姉「そう」

伊「うっそー!全部合ってるー!マジかよ!?」

姉「わたしだってやれば出来るのよ!」

伊「明日は季節外れの大雪?それとも宇宙人の侵略が始まって人類滅亡?」

姉「あー、それはひっどーい!」

伊「まあ、ちょっと言い過ぎたわ」

姉「そうよー、断固抗議します、ぷんぷーん!」

伊「はいはい。ところで、英語の事前課題は?」

姉「へ?」

伊「古文が完璧なんだから、当然2時間目の英語も完璧よね」

姉「みさきちゃーん、お願いだから全部写させてー」

伊「はあ?まさかとは思うけど古文以外は全部やってないとか・・・」

姉「それを言わないでー!」

伊「はー・・・やっぱり美利河はこうでなくっちゃね」


和寒わっさむ 茂辺地もへじ(以下 和と書きます)「おー、我が心の友よ」

赤井川あかいがわ 美流渡みると(以下 弟と書きます)「僕は君を心の友だとは思ってない」

和「そう固い事を言うなよー」

弟「君が朝から僕に向かって『心の友よ』などと言う時は、昔から『宿題見せて』

  とか『課題をやってないから』とか『忘れ物をしたから貸してくれ』など、僕

  に何らかのおねだりをする時だ」

和「おー、そこまで分かってるなら話は早い」

弟「で、何の用だ?」

和「1時間目の現国の事前課題を見せてくれー!」

弟「断る」

和「そんな固い事を言うなよー。昨日のWcDでかえでちゃんの横の席を譲ってあげた

  んだからさあ」

弟「はーーー・・・(黙って課題を見せる)・・・」

和「おー、さすが我が心の友よ」

弟「僕は君の心の友になった覚えがないぞ」

和「まあまあ、そう固い事を言うな」

弟「1時間目の現国は見せてやったけど、2時間目の物理は見せないぞ」

和「あー、きったねえ!」

弟「昨日のWcDでの恩義は現国の課題を見せる事で返したから、2時間目は自分

  で頑張り給え」

和「おねげえしますだ、お代官さまー」

弟「時代劇の真似をするなー!」

和「そこを何とか、な、な」

弟「お前はもう1回小学校からやり直せー!」

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