第24話怪盗佐々木詩乃子
モモは午後の吉祥寺の街を走り
トミーギャラリーへかけつけた。
いつもレジに座っているオーナーがいない。
代わりに小さな眼鏡をかけたポニーテールの美女が座っていた。
モモは話しかけた。
「はじめまして。」
「あなたもしかしてオーナーの津田さんに目をかけられてる新人さんでしょ。」
唐突に言われたモモだったが
「・・・いや。その可能性は低いです。ワークショップの申し込みに来ました。」
と返した。
「やっぱり!津田さんに申込書渡してって言われてたの。」
「なんで私の事を知っているんですか?」
「・・・私。怪盗佐々木詩乃子というものです。津田さんの一番弟子。子供たちみ んなのハートを盗みます。」
「は?」モモはつい言ってしまった。
「わははは!怪盗なのは本当だけど。
あなたのことは津田さんから聞いていて
今日見た事のない女の子来たらオーディションをパスした
新人さんだよって言われてたの。
このギャラリーは来る人が幅広いけど
だいたい30代の人たちで来るのは
作家さんかもしくは作家志望の人だから。」
「そうなんですね。申込書に記入します。」
「はーい!絵本は子供のためのエンターテイメントよ。
軽やかで面白く楽しくいきましょう!」
「はい。」
モモは内心
怪盗?何者????と頭の中にクエスチョンマークだらけになった。
そのときはまだ
怪盗佐々木詩乃子の懐の深さや優しさを知るよしもなかった。
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