3月号 「また会いに来たよ」1本目


 少し前に、私の祖母が亡くなりました。

 私の祖母なので、子供達にとっては『ひぃおばあちゃん』にあたります。

 認知症で、曾孫のことはあまり分からないようでしたが、それでも会うと可愛がってくれて、子供達もひぃおばあちゃんが好きでした。

 みんなで最後のお別れにも行きました。




 数日前


 スリープ状態だったパソコンが

 画面は暗いのに突然音声だけが鳴った。

 それまで子供達が見ていたyoutubeの音声。

 そういう不具合は今までもたまにあったが

 その日はすぐ近くにいた下の子が

 音声が鳴ると同時に



「おばあちゃん、なに観てるの?」



 本当に普通にそこに居る人に話しかけるように。



「おばあちゃん?」



 私が聞き返すと、ごまかすように



「ううん、おばあちゃんが観てるのかな?って思っちゃった」



(この下の子は、小さい時にバッチリ見える人でした。本編「末っ子」参照)



 その前にも気になることがあった。

 下の子が学校から泣いて帰ってきた。

 学校で何かあったのかと心配で聞いてみたけど何も言わず泣いている。

 しばらくして、学校で嫌なことがあったの?と聞くと首をふった


「帰り道……」


「帰り道に何かあったの?」


「おばあちゃんの事、思い出して悲しかった」


 その時は、なんで急に思い出したのか分からなかったけど、まだ子供だし後から悲しくなってくるのかもしれないと思った。


 でも──


 会ったのかもしれない。帰り道に。


 今でも見えているのかもしれない。


 昔、私が聞こえることを誰にも言えずにいたように


 見えることを言えずにいるのかもしれない。



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