4

あの日から、幾日たっただろう。

胸が張り裂けそうになるから

数えはしない。

だけど

芽吹いたばかりだった鬼灯ほおずきが、弦を伸ばしはじめていた。


あたしはこのところ、体の調子が悪くて

よく伏せっている。

原因は分かっている。

このままだと、あの人には会えなくなる。

きっと、あの人は望まない。

あの人が戻って、今まで通り居たければ

決めなくてはいけない。


他にも心配はあった。

戦は負けたと人から聞いた。

生きていてほしい…

まだ、誰も戻った者はいない。

もし、あの人が戻らなかったら…

もし、あの人が戻って来たら…

どちらにしても、決めなくちゃいけない。



鬼灯の根を煎じて飲むのかどうかを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る