3

俺は目を覚ますと



あいつの寝顔に口づけて、夜が明けるまで眺める。



しかし、これ以上は許されない。

俺は何人も斬ってきた。

今さらそんなこと、虫がよすぎる。

俺は明日をも知れない身。

悲しませるだけだ。

巻き込んでしまうこともある。

だから、芸者や遊女と遊びで終わらせたほうがいい。

そうは分かっていても

この長屋へ向かってしまう。


俺は…


認めるな。

悟らせるな。

あいつを守るために、俺は心を凍らせる。



ああ、もう空が白んできやがった。



もう少ししたら出よう。

もう少ししたら…






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る