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ある夜
事が済んで、一服つけながらあの人が言った。
「次の戦は長くなる」
「…そう」
一言返すので精一杯だった。
あたしは嬉しかった。
顔が緩まないように堪えるのが大変で
少し涙が出そうになったので
怪しまれないように、台所へ行って酒の準備をした。
戦も、長くなるのも嫌だけど
あの人があたしを気にかけてくれた。
長く来れなくなることを知らせてくれた。
あたしが心配したり悲しんだりしないように。
そのことが嬉しくて嬉しくて
しばらく台所で泣いていた。
戻ると、やっぱりあの人は眠っていた。
あたしは口づけて
あの人の手を握った。
胸に耳を寄せて、鼓動を確かめる。
夜が、明けなければいいと思った。
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