4

 なんとかあの娘と二人で一緒に下校することに成功した。

タカシの兄ちゃんに言われたルートで駅に向かうと、路地裏に易者コスの兄ちゃんがテーブルを置いて座っていた。

明らかに不自然だ…


「そこのお二人さん」


「あ、なんか呼ばれてるよ!」


 努めて明るく言ってみたが、あの娘は不信感で一杯の顔で言う。


「行こうよ…」


「私には君たちの未来が見える!君たちは最高のカップルじゃ!」


「え…」


 あの娘が立ち止まった。


「聞いてみようよ」


「君たちはソウルメイトじゃ!この男ほどピッタリな相手はおらん!」


 あの娘の顔がみるみる赤くなる。

 タカシの兄ちゃんが目で合図する。


「ぼ、僕たち、付き合ってみる?」


 真っ赤になって俯くあの娘。

 僕の喉がゴクリと音をたてた。


「わ、わたし…」


「えっ、えぇーーーーーー」


 彼女は走り去ってしまった…。


「そ、そんな…」


 膝から崩れ落ちる僕。

 夢の夏休みが

 蜃気楼の彼方へ消えていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る