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 なんとかあの娘と二人で一緒に下校することに成功した。

タカシの兄ちゃんに言われたルートで駅に向かうと、路地裏に易者コスの兄ちゃんがテーブルを置いて座っていた。

明らかに不自然だ…


「そこのお二人さん」


「あ、なんか呼ばれてるよ!」


 努めて明るく言ってみたが、あの娘は不信感で一杯の顔で言う。


「行こうよ…」


「私には君たちの未来が見える!君たちは最高のカップルじゃ!」


「え…」


 あの娘が立ち止まった。


「聞いてみようよ」


「君たちはソウルメイトじゃ!この男ほどピッタリな相手はおらん!」


 あの娘の顔がみるみる赤くなる。

 タカシの兄ちゃんが目で合図する。


「ぼ、僕たち、付き合ってみる?」


 真っ赤になって俯くあの娘。

 僕の喉がゴクリと音をたてた。


「わ、わたし…」


「えっ、えぇーーーーーー」


 彼女は走り去ってしまった…。


「そ、そんな…」


 膝から崩れ落ちる僕。

 夢の夏休みが

 蜃気楼の彼方へ消えていった。



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