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 帰り道

今日の事を思い返しながらフラフラと自転車をこいでいると、あの古い神社の前に出た。


 あの話、本当なのかな?


 自転車を止めて、祠へ向かう。

小さな祠の扉をそっと開くと、本当に木製のコップが置いてあった。

まじか…



 新月の夜中

僕はこっそり家を抜け出した。

お酒は家にあった日本酒を水筒に入れてきた。

 神社は真っ暗だった。

 さすがに怖い。

ちょっと帰りたくなったのを堪えて、懐中電灯を持って祠へ向かう。

扉を開き、コップへお酒を注ぎ入れ、両手を合わせて拝む。

お願いします!出て来てください!


 しばらく拝んでいると

 コップの中のお酒がゾワッと波立った。


「はーい、呼びました?」


 背後から声がして、驚いて腰が抜けた


「ひ、ひぃ…」


「呼んどいてなんだよ」


 聞き覚えのある声だった。


「タ、タカシの兄ちゃん?!」


「眩しいよ!なんだ、オマエか」


「なんでタカシの兄ちゃんが…」


「縁結びのお手伝いをします」


「か、神様だったの?」


「そんなわけねーだろ。順番なの。次の人の手伝いするって決まってるの。自分の番が終わったら、次の人の手伝いするんだよ」


「そういうシステムなの?」


「そう」


「人力なの?」


「そう」

 


真っ暗な中でも

 目の前って真っ暗になるんだね。

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