7月号 コップの中の漣 二本目 1

どうしてもあの娘と付き合いたい‼

そう想いながらもう半年。

同じクラスでよく話すし、チャンスはいくらでもあるけど…

もしダメだったらこの関係も終わるよね。

そう思うとなかなか踏み出せない。




「ねぇ、あの古い神社知ってる?」


「商店街の外れの?」


「うん。あそこ、縁結びの神社なんだって」


通学の車内で、どこかの女子高生が話しているのが聞こえた。


「新月の夜中に、祠の中にある木製のコップにお酒を入れて、出て来てください!って

お願いしたら、縁結びの神様が出て来て

縁を結んでくれるんだって」


まさか


どうせ都市伝説だろう。





昼休み


「この本、読みたいって言ってたよね?」


あの娘にクラス1のイケメンが話しかけた。

嬉しそうに話してる……

やっぱり、敵は多い。

夏休みまでになんとか告白したい。

付き合えれば夢のような夏休みになる……

ダメなら地獄の夏休みだ。


あの娘が

非常階段で一人本を読んでいる。

今だ。

僕は意を決して、非常階段へ出た。

彼女の前に歩みでる。

体が痺れて歩き方がぎこちない。

あの娘が僕に気づいた。


「どうしたの?」


「あの……」


「?」


「……何、読んでるの?」


ギリギリのところで

声が裏返るのを抑え込むことはできたけど告白は

できなかった……

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