第31話:2番目のマンスリーマンション探し

 明日、朝7時、佐藤君が、信夫の家に来て、車に同乗して南房総へ新しい

マンスリーマンションを探すために出かけた。7時過ぎ、五井を出かけて、館山

自動車道を館山へ、8時に到着。最初に千倉へ、国道を鴨川方面へ向かい、白子

まで行き、車中からの回りの景色を見た。


 多くの低価格から高級な宿泊施設があり、やめた方がいいと言い、ユーターン

して、白浜方面へ向かった。途中、地元の商店で車を止めてパンと飲み物を買い、

店の人に、この海沿いの道の周辺に空地が多いのは何故ですかと、聞いた。


 あなた鋭いね、あそこらは、昔は、全て防風林だったが、景色をもっと良くする

ために、木を切り倒して、開墾して家を作ったんだが、やはり、風が強くて生活

しにくいなった。そのため、折角、お金をかけて景色を良くしたのに、景色が良い

場所にたてたホテルやリゾートマンション、コテージが売れないで残ってしまった。


 その後、激しい風と海砂の影響で、多くの家が錆びて、ボロボロになって、

やがて、取り壊されて空地に戻った。以前、防風林の、お陰で普通の生活を送れた

のに、無くなったために、塩害、風害、砂埃がひどくなり、この土地を離れる人が

多くなってしまい、困っているんだよと教えてくれた。そのために、地元の若者達

が都会に出て行き、高齢者の町になった。だから地元民は、東京から来る

不動産業者に、土地を売らなくなったと教えてくれた。


 南下してみると、根元海水浴場、白浜フラワーパークまで山が迫っており、館山

漁港の周辺は家が密集している。平砂浦、周辺の土地も空いいて眺めも良く

国道410号、北条バイパス行くと館山市街地、駅へ行ける。佐藤君と木下信夫は、

この場所がマンションを建てるには良い場所だと考えた。そうして、

この資料をSKSハウスに送った。


 数日後の2015年9月13日、SKSの現地調査隊がマイクロバスでやってきて、佐藤君と木下信夫も現地で会い、5グループに別れて、周辺調査を始めて、

1時間後、集合する事にした。1時間後、候補土地として3つが見つかった。


 そして、その3ヶ所を近くの不動産屋に聞くと、ここは景色は良いが、館山駅から

遠いのがネックでアロハガーデン館山も、房州カントリークラブ、館山カントリー

クラブも今ひとつだと教えてくれた。ただ一つ、景色の良さと広い砂浜は、白浜随一

かも知れないと言った。


 SKSハウスと言うと驚いたようで、大きな観光ホテルでも建てるのですかと

聞いたので、それは秘密と言い、購入方法などを聞いてみると、手数料をしっかり

くれるなら仲介してもいいと言ってくれ、3つ場所の購入価格と持ち主の情報を

調べ、多くの周辺写真を添えて、東京のSKSハウスに送る約束をしてくれた。


 その後、SKSハウスが、購入予定場所を決めて、地主不動産屋に電話して

交渉し、2015年9月16日に購入契約を結んだ。その年2015年中に、

勝浦、鴨川の2ヶ所にSKSハウスの48室のマンスリーマンションをたてる事に

なった。2016年3月13日に合計4ヶ所のマンスリーマンションが完成し、

平均稼働率70%以上の目標で稼働開始した。


 ところが2016年6月のイギリスのEU離脱や11月の米国大統領選のでの

ヒラリークリントン敗北と予想外のトランプ大統領誕生で世界に激震がはしり、

その後、アメリカのパリ協定からの離脱、TPP破棄、NAFTAの再交渉と強引な

事をし始め、日本の景気も落ちてきた。


 その影響か、マンスリーマンションの稼働率が60%を下回り、鬼怒川専務に

SKSハウスの社長から善後策を考えるように指示があったとの知らせが入った。

 その後、あと1年継続して、不振が続くなら、マンスリーマンションを売却する

指令が出たとの噂が立った。


 信夫の投資の方は2016年9月になると豪ドル円が1ドル78円になったので

7.5億円で950万ドル購入した。その他、豪ドルの5年定期預金の満期を

15年前から解約して日本に戻し、約1億円の利益を得た様だ。そうして2017年

を迎えた。


 この頃、米国トランプ大統領がアメリカと中国、EUとの貿易で不公平があるとの

理由で輸入関税を25%上げると発表して混乱した。そうして11月に連日、最高値

を更新していたダウ、ナスダックが下落した。


 2018年には、景気の良いアメリカの急速な金利上昇が始まり、ドル高となり、

トランプ大統領の牽制発言で戻すという展開であったが米国債の10年金利が

3.1%を越え米国株が大きく下げた。マンスリーマンションは60%以上の

稼働率をキープ出来ず売却先を探している話が持ち上がったそうだ。

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