第29話:SKSハウスのマンスリーマンション計画2

 鬼怒川専務が、君、近くに別荘を持ってるんだって、と言うので、誰に聞いた

のかたずねると、笑いながら内緒と言い、そうか、君が見つけてくれたのかと

喜んでくれた。


 周辺を見て、競合するホテルがないので良いが、特急は1つ隣の鴨川と安房小湊

しか停車しないねと言った。すると、鴨川有料道路を通って行けば、木更津まで

40分、東京、横浜まで70分で着くと話した。そんなに近いのかと言うので、

鴨川、安房小湊から東京まで毎日高速バスも出ていると教えた。それなら問題ない

なと鬼怒川専務が言い木下君、うちで、もう一度働かないかと言って来たので、

もうごめんですと笑った。


 鬼怒川専務の建設OKが出て、地元の不動産屋と持ち主の息子と打ち合わせを

はじめて1時間で売却の手続きをとれたと連絡が入り、鬼怒川専務が、その場に

いた木谷建設の佐藤君に、木谷社長に地盤工事に入るように連絡してくれと言われ、

直ぐ電話した。


 そうして、遅い昼食を近くの食堂で、鬼怒川専務がおごってくれ、お別れした。

五井の実家に戻り、今日の話をして、誰が10億円の資産を持ってるとSKSハウス

の鬼怒川専務に言ったのか、父に聞くと俺が木谷社長に以前話したと白状した。お陰

で大金を投資させられそうになったと言い、興味あるから良いけどねと軽く父の肩を

たたいた。


 その後1日で安房天津近くの土地の整備を終えてSKSハウスの連中が大勢来て、木谷社長と佐藤君も来て、重機の搬入と作業の日程を打ち合わせた。佐藤君の住む

隣の空き地を大型トラックと重機の置き場として隣の所有者の農家の方と交渉して

月2万円で木谷建設の資材置き場として借りた。


 大型トラックで重機を持ち込みSKSハウスと急ピッチで21室のマンスリー

マンションを建て始めた。佐藤君は、その建設に専属で完成まで手伝う事になり

3月30日建設開始した。突貫工事で特に、大きな問題も無く、仕事が進み、

5月連休明けの2014年5月8日にほぼ完成し5月10日に落成式を迎えた。


 SKSハウスでも、この時期に、SKSハウスで家を新築した人のうち抽選で

21人に、1週間の滞在をプレゼントした。そして5月12日に当選した人達が

やってきた。 その後、数日、佐藤君と信夫は気になるので現地へ行き、様子を

見ていた。


 するとレストランが少ないから、マンションの中にコンビニ程度の店が欲しい

とか、自販機が足りないなど問題点が浮かび上がった。また、高速バスの改修件が

あったら、買っていて欲しいとか、外房線の特急券の回数券が欲しいとかの要望も

出た。また、釣り場や観光地まで送り迎えでしてくれるマイクロバスが欲しいと

言う要望も出た。


 また、海辺から上がる時に、簡単なシャワーと足洗い場が欲しいと言う要望も

でた。それらをSKSハウスの人が丹念にメモしてメールで東京へ送っていた。

そうして1週間が経ちアンケートをもらって、お客さん達に帰ってもらった。


 そうして要望のあった点の9割程度を取り入れて5月20日に営業を開始した。

そうしてマンションの名前、SKSハウスの人ハウス、安房リゾート・マンスリー

マンションとして宣伝した。ものめずらしさもあって6月~8月は、すぐ満室に

なった。


 宿泊を提供するだけというコンセプトで簡単なコンビニの様な断熱プレハブの店

にして別経営で、必要な物を取りそろえた。この知らせを聞いて、信夫はひと安心

したが、問題は10-3月だと考えた。9月になり満室とまでは行かないが9割程度

は埋まった。この時、釣り、海水浴に来るのだから、ロッカーが欲しいと言う要望が

出た。


 この情報を木谷社長を通じてSKSハウスに伝えると、庭にプレハブ事務所を

設け、ロッカーと簡単な食料品、日用品・日焼け止め、化粧品、応急処置医薬品、

洗剤等、レジャー用品と釣り道具も置いた。人に寄ってはビニールボート、浮き輪を

ロッカーにおいたままにする人がいるので、無くなっても責任が負えないという理由

で、ロッカーの設置はお断りした。

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