第23話:千葉の老人施設建設の進出断念

2012年11月に佐藤健介から転勤命令がでたので電話で、東京、横浜に近く千葉の房総半島を移動するにも便利な所はどこか聞かれ、アクアラインの千葉側の木更津が、第1候補だろうといった。


 来週に、車でそっちへ行くが、木下信夫の家の住所を教えてと言うので知らせた。翌週の土曜日の早朝、これからそちらへ向かうと電話があったので待つと9時過ぎにドアホンが鳴り、佐藤健介がやってきた。疲れただろうから、まー上がって珈琲でも飲んで、家探しに行こうと言った。


 信夫が、お前、腹減ってないかと、聞くと

「実は、朝食まだなんだ」と笑いながら言うので、和美さんに言って卵2つの大きなハムエッグを作ってもらい大盛りの御飯を渡し食べてもらい、その後、珈琲を飲み、10時頃、五井の家を後にした。


 会社から高速代出るんだろと、確認すると出ると言うので、それなら袖ケ浦インターチェンジの近くの方が、安くて大きいアパートがあるかもしれないと、捜すことにした。信夫の五井の家から佐藤君の車に乗り、高速で市原ICから館山自動車道に入り、仕事は会社の車で動くというので袖ケ浦インターチェンジ近くの物件が良いのではないかと言った。


 わかったと言い、「今日の天津小湊や館山、富津の方まで見たいのか」と聞くと、「そうだと言うので、信夫が山道は俺が運転するから道を覚えろ」と言って、袖ケ浦インターチェンジから高速道路で木更津東インターチェンジで出て、高速道路を下りて410号線から465号線に入り、久留里線に沿って南下して、途中で右折して久留里街道に入り亀山湖を南下して、片倉ダムを抜けて、鴨川有料道路を通り約30分で安房鴨川へ到着した。


 その近くのデニーズへ寄って、一休みしながら、地図を見せて、道を確認した。その後、簡単な道なので、佐藤君に運転を交代して外房黒潮ラインの道を南下して行き40分で館山につき、昼市議になったので、館山駅近くのレストランで昼食をとった。


 その後、内房に入り高速で20分で富津中央インターチェンジで降り、富津岬へ行き、展望台に上がり、対岸を見ると、三浦半島が、近くに見えるので、対岸の三浦半島まで約5kmだというと、そんなに近いんだと驚いていた。



 その後、富津から20分で袖ケ浦インターチェンジで高速を降りた。既に、午後3時過ぎなので、近くの不動産屋に寄って、佐藤君が良さそうなアパートを探すというので、木下信夫は、五井の家まで送ってもらい、別れた。佐藤健介が恩に着るぜと、木下の肩をたたいた。


 12月初旬にアパートを決め12月14日に引っ越すと言ってきたので12月14日金曜日午後を空けておいた。案の定14日、朝早く佐藤健介から電話が入り、木下の家に迎えに行くから付き合ってくれと言われ了解した。10時に到着して、平日混んでないと30分足らず着くんだと驚いた様子だった。


 最初に不動産屋に行き、鍵をもらった。そのアパートは車で5分で袖ケ浦インターチェンジにつける場所だった。2DKで8室のアパートで2階の部屋だった。5.5万円で駐車場付きだったが、周りは農村風景が広がるのどかな所で、道は狭く川も近い。


 やがて、2013年となった。1月12日に木下信夫は佐藤健介と木更津郊外のファミレスで会い、佐藤が千葉に派遣された理由を聞いてみると、佐藤君の会社では、地価が安くて温暖な南房総にサービス付き高齢者向け住宅つくる計画をたてたが、将来性があるかどうか、採算が合うかどうか調査する事が、任務だと教えてくれた。


 東京、神奈川は地価も高く、大手業者が、既に多くのサービス付き高齢者向け住宅・マンションを建てたが、中堅の佐藤君の会社は、後れをとり何とか挽回したいようだ。佐藤が、ズバリ、木下信夫にどう思うと聞いた。詳しい事わかないが、多分、地元の役所は積極的な誘致はしないだろうと予想されると言った。その理由は、人口が、それ程、多くなく、また地区以外から高齢者の流入は、役場にとってメリットがない点にアルと話した。


 また温暖ではあるが田舎で不便。東京まで高速で1時間半、山間部は大雨に対して不安もある。大きな施設には、初期投資がかかるが儲けが少ないと感じても、簡単に施設を売る事はできない。最後に、田舎は封建的で、よそ者を敵視する傾向がある、以上だと言った。

 

 今年の3月までに報告書を提出して、それを見て千葉に進出するかどうか決めると会社が話しているようだった。リスクが、大きすぎるから、やめた方がいいと忠告した。もし何かあったた、佐藤君が全責任だけ負わされることになるぞと忠告した。わかった地元の人の意見は大事だからなと言った。


 食事をして別れて無理すんなよと佐藤君に声をかけた。その後、この件は気になっていたが、3月10日に佐藤君から電話があり、木更津のファミレスで待ち合わせた。食事後、佐藤君が開口一番、木下の言ったとおり、既に千葉の外房、内房の海岸の高台につくったサービス付き高齢者向け住宅の供給が多すぎて、肝心の入居者が追いつかなく、そろそろ経営状態が厳しくなっているようだと施設の人から聞いたと話してくれた。


 一番ネックは、都心に住む、面会する家族が不便で敬遠するケースが多い様だと言った。やめるのも勇気がいるからなと本音をもらした。そこで千葉進出はやめた方がいいという報告書を提出すると聞かされ、佐藤君と別れた。


その後、木下信夫は、2013年3月20日に、豪ドル円が100円を超したので、101円で760万豪ドルを売り税引き後純利益が2.3億円を手に入れた。

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