第22話:南半球の旅行

 昨年、買い換えた7人乗りのワゴンで信夫と和美と華子と栄一と彩美さんの5人で天津小湊の叔父さんの家を訪問した。新しく出来た立派な家を見て、これがお父さんが建てた別荘ですかと言い、良い景色ですねと誉めてくれた。伯父、木下紀夫さんと叔母の木下若子さんを紹介して、冬寒くなると来たり、気分を落ち着かせるため、釣りを楽しむために頻繁に来るんですよと説明した。


 叔父さんも叔母さんも、あんなに小さかった栄一君が、こんな綺麗なお嫁さんをもらうんだと言うと、杉本彩美さんの顔が赤らんだ。お茶とケーキをいただいて失礼した。


 そして結婚当日を迎え緊張した面持ちで式を終えて披露宴会場に戻ってきた。結婚式は両家の意見で、華美にせず36名の参加で、滞りなく終了した。新婚旅行は3日間で南九州を回ってくると話していた。


 和美さんと信夫は7月20日からは、久しぶりにオーストラリアとニュージーランド2週間の旅へ出かけた。最初にオークランドに入り1泊してクライストチャーチで2泊してカンタベリー博物館や植物園、美術館をめぐり、海岸やハグレイ公園を回った。その後、オークラントに戻り、市内観光をした。翌朝、オーストラリアのシドニーに飛び、オペラハウス、ボンダイビーチ、ハーバブリッジを巡り、フィッシュマーケットで新鮮な魚を食べた。タンガロイ動物園は海が見える動物園として有名でコアラとふれあい楽しんだ。


 シドニー3泊して、ブリスベンに飛び、ブリスベンとゴールドコーストを4泊した。1日目はブリスベン中心街を散策しブリスベン博物館や市立植物園を見学して話題のミュージカルを見て食事してホテルに戻った。フォーティテュード・バレーと公園へオープンエアのレストラン、おしゃれなブティック、週末のマーケットなどを見て回った。


 その後は、市内からバスに乗ってマウント・クーサ展望台へ行き、ブリスベン市街からモートン湾、さらにグラスハウス・マウンテンまで見渡せた。3日目はバスや高速のカタマラン船に乗ってモートン島へ行った。ここは世界で3番目に大きな砂の島で、その大部分が国立公園に指定されています。ビーチやキラキラと輝くラグーン、岩で覆われた岬を見て歩いた。野生イルカの餌付け8月だったので回遊してくるクジラを観察するホエール・ウォッチングなどが楽した。


 その後、ケアンズに飛び、レインフォレステーション・ネイチャーパークを楽しんだ。特にコアラの赤ちゃんが可愛かった。お決まりのキュランダ高原鉄道とスカイレールを楽しんで2泊して日本への帰路についた。


 10月になり、突然、旧友の佐藤健介から電話が入り、相談にのって欲しいというので10月11日土曜日、1人で高速バスで横浜へ出かけた。ファミレスで昼食をとりながら、佐藤健介から話を聞くと、転勤命令が出て、千葉の房総で景色が良くて地価の安い場所を探してケアハウスを建てる計画が提案され、先発隊として転勤して状況を知らせるようにと指令されたと言った。


 確かに、南房総の地価は安いが、インフラ整備の問題や地盤、かけ崩れ、洪水、津波などの可能性を考えてみないと、簡単に地価が安いからと言って土地を買って老人施設を建てるという訳にはいかないと話した。佐藤健介が、転勤しやすい独身のベテランで指名されたと言う訳なんだと困ったように言った。


 そこで、千葉の木下信夫に協力お願いしたいと言った。協力できることはするが、どれほど役に立てるかはわからないぞと、話した。南房総、天津小湊に、仲の良い叔父さんがて、五井、市原周辺には、父の友人も多いと言った。それは心強い転勤したら、是非、力になってくれと頼まれ、仕方なく承諾した。


 五井の実家に戻って、父に話すと、この頃、東京の業者で地価の安く、温暖な千葉で老人ホームをつくりたいと言う話は、いくつかあったそうだが、老人ホームを作っても過疎化が始まっていて、残ってる老人も裕福でないために老人ホームには入れない。


 そのため東京、横浜、千葉、関東から入居者を募集しても家族が遠いからと言って敬遠されるケースが多い様だと話してくれた。気候は良いのだが、ちょっと遠すぎるんだと笑った。もしその会社で入居者を集める力があれば入居者にとっても気候も良く、冬暖かく、天津小湊近くには、亀田総合病院という優れた大病院があるし、悪くはないと思うと言った。

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