2668話 強欲な男
明らかに真っ当ではない商売をしてそうなショウザ。かなり欲深そうだからな。私の誘いに乗ってくるんじゃないの?
「ほっほう? どう儲けさせてくれるのかねえ?」
「だから質問してるんだよ。あんたの商売は何だ? 何を扱ってる?」
「ほほっ、何でも扱ってるねえ。葉巻でも卑薬でもねえ。まあ特に人気があるのは人間だねえ。売ったり貸したり派遣したりと大人気だねえ?」
ふぅん……奴隷商人か? 人材派遣も兼ねてる感じ? まあいい。
「これ、興味ないか?」
「ほっほ、卑薬の元だねえ。ん? その芋みたいなのと芋虫は見覚えがないねえ」
麻零余子と自然薯はセットみたいなもんだが、誰も掘らないんだろうね。
「まあほんの少しだけ食べてみな。おっと、こっちの芋虫はやめた方がいい。効き目が強すぎるからな。」
「ほっほ、大きく出たものだねえ。お前、これを一口食べてごらんねえ?」
「はっ!」
ふぅん、自分で確かめる気はないのか。用心深いねぇ。まずは自然薯からか。あ、一口が大きすぎる……
「ほっほっ、どうだねえ?」
「えっ、ええ、ここれ、これって、その、と、とても、ええ、いい、いいいひいいいっ、ひひっ、ひっ、うひひひひひひひひひひひひぃ! あひゃひゃひゃひゃひゃいひひひひぃいいいいいいいいいっいっひひひひっひひっひひひっふふぢっげべべべべひぢぎにききききききぎぎぎききききいいいいひひひひびびびびびびっびびぴびぴぴぴびっっっぴぴぴぴぴぴ………………」
あーあ、壊れちゃった。
「ほっ……こ、これは何なんだねえ……?」
「こっちの実は知ってるよな? こいつの蔦を辿って根元を掘ると、こんな芋が埋まってるってわけさ。まあ掘るのは楽じゃないけどな。」
「ほっ、ほう……ムカゴロの実にそんな根があったとはねえ。で、こっちの芋虫はどうなのかねえ?」
「試してみたらどうだい? この世の天国が味わえるらしいぜ?」
間違いなく廃人、もしくは即死かな? こんなのコーちゃんぐらいしか食べないんじゃないだろうか。
「ほっほ、まあいいとしようかねえ。それでこれを売りたいと言うのかねえ?」
「いいや、欲しいなら売ってやるから値を付けろと言いたいだけだ。ムカゴロの実といったか。実の宝は手に入るだろうが根の方は意外と難しいぜ? ましてはこの芋虫は不可能だしな。さあ、どうする?」
「ほっほっ、買い取ってもいいが問題があるねえ。現時点でどれぐらい持っているのか、そして安定供給はできるのか、その二点だねえ。
急に真っ当な商人みたいなことを言うじゃないか……
「一つ目の質問には答えられないな。なぜなら全部売るわけにはいかないもんでな。それから安定供給は無理だ。あくまで今こちらが売れる分だけだな。それでもかなりの量の卑薬が手に入ると思うぜ?」
どうせ混ぜ物する気だろ? そうすればかなり増やせるもんな。
「ほっほっほ。それは残念だねえ。安定して手に入らない品物なんて興味ないねえ。で、それで以上かねえ?」
ちっ、なんてまともなことを言いやがるんだ。一時の泡銭なんていらないってか。
「じゃあもう一つ。イヌワルバの情報が欲しい。あんたほどの大物ならそんな情報だって持ってるだろ?」
さあ、どうする?
「ほっほ……その名をどこで聞いたか知らないけどねえ……あまり危ない所に首を突っ込むもんじゃないねえ? 命の危険があるねえ?」
大物ってとこは否定しないのかよ。
「知らないならいいさ。そこらの下っ端ボーイェでも知らないぐらいだしな。じゃあこれで、邪魔したな。」
今日のところはこんなもんかな。
「ほっほっほ、待ってもらおうかねえ? これだけボクの時間を奪っておいてタダで帰ろうなんて都合が良すぎるねえ? その芋虫をあるだけ置いていってもらおうかねえ?」
だから先に宝貨をくれてやっただろうが。欲深い奴だなぁ。
あらら、用心棒どもが囲んできたよ。安定供給できないものは要らないんじゃなかったのか?
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