2406話 乱舞りんぐカース

私達を取り囲む衛兵。カラバの街では白い服に胸部は装甲って感じだったがこいつらは茶色。意味があるんだろうか。

そんなことより私はまだムカついてる。誰かが怒りは6秒でおさまるって言ってた気がするが……全然おさまる気配がない。


「たっ、助けてくれぇ! こいつにやられたんです! しかも我が子に何か飲ませやがって! ぴくりともしないんです!」


「何やつだ! 見慣れぬ装いだ!」

「刑の邪魔をしたんだろお? どうせ厳罰だ!」

「何者かあ! 逆らう奴は許さんぞお!」


このクソ野郎が……


「文句があるなら来い。いくらでも相手してやる。ただし、死ぬ気で来いよ?」


好き勝手なことばっか言いやがって……マジでイライラが止まらん……身体強化をちょい強めに……


「ほおぉう? 大きい口を叩くなあ! 女の前だからって調子に乗ってんなあ!?」

「そんならこのガキをぼっこぼこにした後でよ? 楽しみができたよなぁ!?」

「無駄口を叩くな! 制圧するぞ!」


剣を抜いた。細いサーベルか。そんな脆そうな刃物で私のドラゴンウエストコートを突き通せるとでも思ってんのか?


「どうなっても知らんぞ?」


「このガキがぁ!」

「謝っても遅いぞ!」

「制圧だ!」


なめんなよ!


「があっ!?」

「なっ!?」

「ちいっ!」


不動を大振り。横殴りにまとめてぶっ飛ばす、つもりだったが三人目は起き上がってきやがったか。


「抵抗するか!」

「やれ! 囲め囲め!」

「ふざけおって!」


近寄るんじゃねえよ!

くらえ乱れ突き!


「がっ!」

「うぐっ!」

「ごふっ!」

「くっ……やってくれたな……だが、捕まえたぞ……」


ちっ、やっぱ大勢を相手にすると後半は勢いが落ちるか。だが、不動を掴んだぐらいで勝った気かよ?


『螺旋貫通峰』


「ぐぼぉぉっ!」


両手でしっかり握ってないからだ。無理矢理突いてやった。


「おらぁ次ぃ! もっとかかってこいや!」


やっぱ疲れるな……鍛錬は怠ってないつもりだけど、さすがに実戦は違うな。私達を取り囲む衛兵。茶色野郎どもめ……とことんやってやるよ……




「くっ、おのれぇ……」

「もう許さん! 殺してやるぞ!」


ふぅ……くっそ疲れたぞ……だが、あと二人か。


「やるんなら来い。怖いなら逃げろ。」


「ふざけるな! この無法者が!」

「もう許さん! 殺してやるからな!」


「そんなボロボロの剣でか?」


「なんだと!?」


バカが! 見てんじゃねぇよ。隙ありだぜ? 不動をブンとひと振り。


「なっ!?」

「まさかっ!?」


ちっ、失敗か。どちらの剣もぶち折ってろうとしたんだがな。一本だけか。もう一本は手から飛んだだけ。でもまあいい。


「なまくらな剣使ってんなぁ。それで勝てるつもりか?」


「ぶぐぉっ!?」


またまた隙あり。ぼーっとしてんじゃないぞ? 突き一発。その腹に少しだけ穴が空いたろ?


「さて、もうお前だけになったな。まだやるか?」


「くっ、くくぅ! お、覚えておれよ! 絶対この街から逃がさんからな!」


逃がさんって言いつつ自分が逃げてんじゃん。

だいたい街ってレベルじゃないだろ。村だろここ。


ふぅ……疲れた……

でも暴れたせいか少しイライラがおさまってきたかな? 身体強化を解除しよ……ふぅぅ……


この子は大丈夫なんだろうか……

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