2152話 魔力断絶のロープ
魔力を感じることなく拘束されたってことは、こいつら三人の魔力が低いか……魔力を抑えているか、だ。よく見ればロープの先端に魔石っぽいものが付いてる。ますますドロガーを思い出すな。
地表から五メイルあたりを飛んでいた私達をよくもまあぐるぐる巻きにできたもんだ。
「さあて、死にたくなけりゃあ洗いざらい話してもらうぜ?」
「くくっ、あんだけ魔力垂れ流してバレねえとでも思ったか?」
「こっちの女あどうする? 人質にできんだろ?」
そもそも空を飛んでるんだから下からすぐ発見されることぐらい想定内だっての。魔力探査だって使ってる以上は感知されることもな。
「ああ。こいつは色々と使い道がある。が、男はだめだ。さあて、話してもらうぜ?」
「そうすりゃあ女の命だけは助けてやるからな?」
「それとも先に拷問がいいか?」
「何が知りたい?」
話せと言われてもな。だったら質問しろよな。
「お前、魔王だろ? ベゼル家に肩入れしてんのか?」
なんだよ。私のこと知ってるのか。それなのにえらく余裕こいてるな。理由はこのロープだろうけどさ。
「俺を魔王だと分かってこんな真似してんのか?」
「あんま調子乗ってんじゃないぞ? このロープは特別製だからよ」
「まさか出番があるとは思わなかったよなあ? 準備しとくもんだぜ」
「へへっ、抵抗できるもんならしてみろや?」
これ結構すごいよな。そこらの魔封じの首輪よりよっぽど効果的じゃん。秘密は巻きの数だろうか?
「くっ……何が聞きたい……」
やっぱまずは演技からだ、ぐあっ……
くそ、拘束してんだから殴る必要ないだろうが。棒っきれでぶっ叩きやがった。痛ぇなクソが……ロープを巻かれた時点で自動防御を切ったからな。
「よく考えたら聞きたいことなんかなかったわ」
「殺しとくか?」
「魔王っつっても所詮はガキだよなぁ。名前負けもいいとこだぜ」
ちっ、せっかく演技したのに……
「じゃあな。心配せんでも女は助けてやるぜ?」
「安心して死ね」
「おらよ! ん?」
「くっ、離れろ!」
「おお!」
「くそっ!」
いちいち判断が早いな。いきなり私の首を掻き斬ろうとしやがった。だから自動防御を張ったのだが。失敗したと見るや即座に距離を取るとは……ロープでぐるぐる巻きにしてるくせに油断してないのな。
大人しくしておいて油断させてから情報をゲットしようと思ったが、もう手遅れだな。
『風斬』
『散弾』
『水壁』
「いいロープだな。どこで手に入れた?」
もうズタズタに切れちゃったけど。たぶん特製の魔道具だったんだろうなぁ、悪いねぇ? ヒイズルで鍛えた私の風斬。今や母上のに匹敵する切れ味じゃないだろうか? 言い過ぎ?
「くっ、こんなにあっさりと……」
「魔力断絶じゃねえのかよ……」
「痛えじゃねえか……」
風斬でロープを切り、即座に散弾を全方位へ。その上で逃がさないよう周囲を水壁で囲んである。でも散弾があまり効いてない。こいつらそこそこやるな。
『狙撃』
「かひゅ」
「くぐゃ」
「ぐうっ……」
まず二人。顔の真ん中をぶち抜いた。残る一人は大腿部の真ん中を撃ち抜くはずだったのだが……いい防具着けてやがるな。
「めちゃくちゃすぎんだろ……一瞬で二人かよ……」
「お前は殺さないさ。あれこれ吐いてもらうからな。」
「舐めんなぁ!」
『狙撃』
「効くかぁ!」
『水球』
「がっはぁ!」
こいつ……何か飲みやがったな? 両肩をぶち抜いたのに突進してきやがったし。だから水球で吹っ飛ばしたわけだが。
ちょっと実験。
『徹甲弾』
腹に穴を空けてやったが……
「痛ぇじゃねえか……殺すぞガキがぁ!」
ちっ、腹の穴がもう塞がってやがる。
さてはこいつ
さて、どうしてくれよう?
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