1814話 ヤマトゥオ村の秘密
ふう。やっと落ち着いた。体調が悪そうなのに激しい動きは体に毒だぜ?
ゆっくりと事情を話す。
「そうか……クワナはローランド王国まで……しかもグレンウッド殿と
そこまでじゃないと思うぞ。単に先王の街の住人になっただけなんだから。まあその後、現在の国王に呼び出されてからは行方不明なんだけど。それは言ってない。心配させるだけだからな。
「それよりそろそろ出ない? 天都まで連れてくよ? それとも何か契約魔法でもかかってる?」
「いや……何もかけられてはおらぬ……だからこそ……テンリや孫達が人質にされておる……」
「何度も言うけど今ならジュダはいないよ? つーかむしろこっちに現れるんじゃないかと見てんだよね。 ジュダってここにはよく来る?」
「だいたい半年に一度といったところか……定期的にやって来おる……」
定期的?
「何か理由でもあるの? ばあちゃんの顔を見に来るわけでもないだろうに。」
契約魔法をかけてないってことは半年ごとにかけ直すこともないだろうし。案外ここって要所だったりするのか?
「詳しくは知らぬ……だが
そういやそうだったな。建物内の人間から魔力を吸い取ってやがるんだし。ジュダのことだからどうせろくな使い道じゃないに決まってる。ぶち壊そう。
「で、どうする? 天道宮はもうぼろぼろだし人心も離れた。ジュダが天王の座から落ちるのも遠くないよ?」
確認しちゃあいないけど、あれだけのことをやらかして人心が離れてないはずがない。
「……連れて行ってくれるのか……」
「うん。王妃は結構おかしくなってたからさ。何とかしてやった方がいいよ。」
なんせ解呪が効かなかったからなぁ。つまりあれが改変魔法の効果なんだろう。どうなってやがるんだよ……
「すまぬ……頼めるだろうか……」
「いいよ。天都なんてすぐ着くから。じゃあ急いで荷物をまとめて。何なら僕の魔力庫に入れてもいいし。」
「いや……必要ない……この身一つでよい……」
よし。
『浮身』
アレクが待つ鉄ボードまで。
「……ああ……なんと体が軽いことか……そしてこの風の香り……冷たさまでもが愛おしい……」
外を見たり、窓を開けて外気を入れることぐらいはしてたんだろうけどさ。こうやって思いっきり外を楽しむことなんかできなかったんだろうね。ジュダめ……何の目的であんなえげつないことを……
「ただいま。ひとまず天都に帰ることにしたよ。ジュダの捜索は後回しかな。」
「おかえり。私は構わないわ。王太后殿下も治療院にお連れした方がよさそうだものね。」
「……ローランドでは王太后の敬称は殿下なのか……」
ばあちゃんたら妙なことを気にするな。
「さようでございます。我が国で陛下と呼ばれるは国王陛下だだお一人。王妃様も王太后様も等しく殿下と呼ぶが慣わしです。」
まあそうだよね。先王だって先王様だもんな。殿下とすら呼ばれないし。まあ個人的に先王陛下って呼んでる者は多いけどさ。
「……そうか……埒もないことを聞いた……妾のことは好きに呼ぶがいい……もはや王太后などと名ばかりでしかない……」
「では遠慮なく王太后殿下と呼ばせていただきます。私はローランド王国四大貴族が一つ、アレクサンダル家の分家アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルと申します。」
「……ほう……アレクサンドル家か……この度は世話をかける……」
「話してることろを悪いけど、だいぶ離れたからあの建物をぶっ壊すよ。いいよねばあちゃん?」
「もちろんだとも……」
『超圧縮業火球』
街に向けて使うもんじゃないけどね。あんな胸くその悪い建物は跡形もなく滅してやるよ。ジュダが何をしていたのかは知らんがせいぜい悔しがるといい。
さほど大きくもないきのこ雲が立ち昇る。威力は抑えたからね。ここ以外に影響が出ないように。いつだったかヘルデザ砂漠で使ったやつの二割ってとこだろうか。
「……な、なんという……こ、これがローランドの魔法使い……」
ばあちゃんだって結局魔力高いんだけどね。さすがに今は心も魔力も弱ってるもんな。そんなにビビらせるつもりはなかったんだよ。ごめんね。
「お待たせ。さあ天都イカルガに帰ろうか。」
「惚れ惚れするわ……カースって本当に素敵……私もう……」
ぬふふ。アレクが発情モードになった。かわいいなぁもう。でもなぁ……寝てないからそろそろヤバいんだよな……眠気が限界だよ。
イカルガに帰ったらまずは宿だな。ごめんねアレク。
はい到着。
キサダーニのところでアーニャとコーちゃんを拾って、ばあちゃんを治療院に届けた。身分は明かしてない。例によって金は私が払う約束で頼んでおいた。
そして宿は若草雲荘。久々な気がするね。
カムイやクロミには悪いが先に休ませてもらう。目が覚めたらジュダが捕まってるといいなぁ……
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