1643話 リッチー
リッチー……『無限の叡智を求めた魔法使いが永遠の命を目指したなれの果て』なんて言われてるが、迷宮のボスとして現れた以上どうでもいいことだ。元人間だろうが、ただの魔物だろうが。
問題があるとすれば、こいつ…‥強い……
魔力の弱い人間は目にしただけで命を吸い取られる、と噂されるだけの威を感じるな。
当然アーニャはしっかりアレクに守られている。
「赤兜ぉ! いつでも突っ込めるよう備えとけ!」
「ああ……」
こいつにトドメを刺してもらう必要があるかも知れんからな。
『火球』
『壁ヨ』
ふぅん。きっちり防ぐのね。妙な魔法を使いやがって。
『狙撃』
『風ヨ』
ふぅん。判断早いな。的確に魔法を切り替えやがる。
『榴弾』
『
なっ!? 消えた!? だが私の榴弾はホーミング、どこに逃げても襲い続けるぜ?
「寄るなし!」
『豪炎陣』
『壁ヨ』
何ぃ!? クロミの前だと!? やべっ『榴弾解除』
「ちいっ!」
斬りかかる赤兜。やれ! ぶった斬れ!
『風ヨ』
ちっ、吹き飛ばされたか。さすがに魔法の発動が早いな。私並みだ。
「ニンちゃん! こいつに触れられないでよ!」
「おう!」
クロミは何か気付いたようだな。それよりこいつ……転移しやがった……私はさっぱりできないってのに。生意気な……
『火ヨ』
『高波』
危なっ、部屋を火の海にしやがった……消したけど。
ちっ、また上に戻りやがった。それにしてもこいつって赤兜との相性が絶妙だよな。浮いてればあいつに手を出せない。逆に接近できれば赤兜の勝ち確定だしな。
『火ヨ』
『魔弾』
今度は火球を撃ってきやがった。効くかよ。だからてめぇの魔法を目隠しにして魔弾を撃ったのだが……杖で弾きやがった……何だあの杖は?
構うもんか。撃ちまくってやるよ。
『榴弾』
『移身』
消えた。転移だ。さあ、どこだ?
「カース後ろ!」
分かってるとも。でもアレクありがと。
「おらぁ!」
私に向かって手を伸ばしていたリッチー。その手を不動で打ちすえる。触らせるかよ。
『火ヨ』
バカが効くかよ! 死ねや!
ちっ、頭を不動でぶっ叩こうとしたんだが、杖で防ぎやがった。だが、杖は折れたな。イグドラシルを舐めんなよ? そのまま燃やしてやるよ。
『火柱』
『移身』
ちっ、逃げやがった。また上の方に。
舐めんなよ? 空中戦ぐらいできるに決まってんだろ。でも行かないけどね。てめぇのフィールドに付き合う気はないぞ。
『土ヨ』
なっ!?
「全員飛べ!」
『風壁』
『浮身』
ふざけんな! この部屋ごと埋め尽くす気かよ!?
「ニンちゃんもういいよ!」
よし……『風壁解除』私も逃げよう。
膨大な土砂が流れ込み、部屋を飲み込んだ。どうしても空中戦に引きずり込みたいってのか? 下は泥沼か、着地はできない……?
そんなわけないだろ。
『凍結』
この部屋程度の広さなんか容易く凍らせられるってんだ。
『狂エ』
何か魔法を使ったようだが、知るか。そして死ね。
『徹甲魔弾』
『
ほぉ? 雷で私の魔法を迎え撃とうとしたのか? バカが。右肩から腕がぶっちぎれやがった。
あ、そうか。今のは迎撃しつつ私を攻撃するつもりだったのか。だが祝福の関係で電撃は私には効かないからな。不動を使う都合で自動防御は張ってないけどね。
「カース! こっちは気にしないで!」
「任せる!」
さっきの妙な魔法か。アーニャは眠らされてるし、赤兜は縛られてる。さっき飛んだ時にムラサキメタリックの鎧を脱いだせいで魔法攻撃をくらったのか。
さあて、そろそろマジで終わらせないとな。この野郎さっきからこつこつと見えない小さな魔法を使ってやがる。もちろん私には効いてないが、アレクたちにも効かないとは限らないからな。
久々に使うか。こいつにはミスリルが効きそうだしね。
『
『壁ヨ』
防御を固めやがったか。だが知るか。がんがん行くぜ。
『金操』
行け。ミスリルギロチン。奴の防御魔法なんぞぶち壊せ。
『風ヨ』
無駄無駄ぁ! 私のギロチンはその程度のそよ風じゃあビクともしねえよ! そしてそんな無駄な魔法を使ってるもんだから……
ほぉら壊れた! 死ねや!
『金操』
『徹甲弾』
『榴弾』
捉えた!
ミスリルギロチンは奴を上下に真っ二つにし、徹甲弾は腹に大穴をあけ、榴弾は全身を穴だらけにした。
だが……
あの野郎……どうにか頭部だけは守りきりやがった……
『火ヨ』
させねぇよ!
『吹雪ける氷嵐』
『金操』
ミスリルギロチンの刃でない方で……頭部を……ぶっ潰す!
『移身』
ちっ、また転移か。だがもうどこに逃げようが……ほらそこぉ!
『狙撃』
縛られて横たわる赤兜の頭あたりにいた。どうせアレクたちの付近に出るだろうと思ったぜ。見事に頭をぶち抜いた。
「よっしゃあ! 死ねやぁ!」
ドロガーが赤兜の剣を振るう。よし、縦に真っ二つ! おいしいところを取られたか。
「ヨッちゃんまだ!」
「なっ!? ぐがああぃあぁぃぁぁーーーー!」
『風円斬』
あの野郎……真っ二つにされながらも左手を伸ばしてドロガーに触れやがった。その手もクロミによって断ち切られたが……
『復元』
ちっ、元通りになりやがった……
あの一瞬でドロガーから全魔力を吸い取ったってのか……舐めた真似しやがって……
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