1629話 四十七階のボス
それから、目を覚ました赤兜やクロミも交えて食事を続けた。
「ニンちゃんどうだったー? アレ効いたー?」
「かなり効いたよ。ありがとな。」
こんなの食事中に話す話題ではないと思うが……
「スッキリした顔してるしぃー。ニンちゃんやーらしーい。あーあ、金ちゃんいいなぁー。まだ起きれないぐらいだし、かなりガッツリやったんじゃーん? いいなぁー。」
だから食事中だってのに。酒も飲んでないくせにさぁ。
まあ普段はアレクの方が激しいし私をリードすることも多いけど、今日は違ったもんな。寝てるアレクにほぼ無理矢理、獣のように。それでもアレクは大喜びだもんな。まったくいい子だよ。
さて、色々あったがゆっくり休んだ二日間だったな。では 攻略再開だ。ちょっとダルいが同じように慎重に進むとしよう。
「ガウガウ」
ほう……いいのか? お前が大変になるぞ? カムイめ。ペースを上げろときたもんだ。私はカムイに合わせて後ろを飛ぶだけだから問題ないが。
次々に襲い来る魔物、数々の罠。そのどれもが私たちを傷つけることはできなかった。当たり前か。魔力無効空間もなかったし。
そんなこんなで三時間後、ボス部屋に到着した。
「じゃあ同じようにいくぞ。たぶんだけど、さらに狭くなりそうだからな。」
「おうよ。狼ちゃんに期待してんぜ?」
私もそう思う。魔法が使えない時はカムイにかかってるからな。頼むぜ。
「ガウガウ」
部屋に入り全員で次の階への扉前に近寄る。同じように上からボスが落ちてくる。そのまま足首でもひねればいいのに。
「ニンちゃん。やっぱ魔法使えないし。」
「ああ、分かってる。サポートを頼むぞ。」
やはり部屋は透明な壁に仕切られている。だいたい二十五メイル四方か。十三メイルもあるような魔物と戦うにはちょいと狭いよな……くそ……
しかも棍棒二刀流かよ。いや、二棍流? それにしても
だが……
「グギャオッ!?」
いきなりで悪いな。お前はもう終わりだよ。なんせカムイがムラサキメタリックの刀『
そんな平坦な背中を切り裂きながら頭に向かうカムイ。
「グギィアォ!」
おっ、上半身を起こしたね。でも……
「グギィィ!?」
だめだったねぇ。カムイが背骨の一部を斬ったんだろうさ。もう立ち上がることさえできないだろ? 魔力が使えないとお前ら魔物だって困るよなぁ。カムイのスピードに素の能力だけで追いつかないといけないんだからさ。無理無理。
それでも床の上をばたばたと暴れまくるブラッディオーガ。棍棒を手放しているもんだから握られたりなんかするとアウトだよな。慎重に仕留めないと。
かと思えば赤兜の野郎。しれっと背中から登って頭に到達したかと思えば、脳天に剣を突き刺しやがった。さすがに即死ではなかったためにオーガの手に払われて吹っ飛んだが、これは終わっただろ。部屋の隅に寄って死ぬのを待ってればいい。二回戦に備えながら。
そして予定通りブラッディオーガは動きを止めた。ここから少しばかり小さくなって二回戦開始だ。一気に燃やしてやるよ。
あれ? 魔力が廻らないぞ? まだ二回戦開始ではないのか?
「グオオォ……」
なのにオーガは起き上がってきやがった。傷はなくなり、少しだけ小さくなって。なんでだよ! そんなのアリか!?
でもカムイは気にせず動いた、が……ちっ、右足だけか。さすがにオーガも警戒してやがるな。いつの間にやら拾った棍棒で執拗にカムイを狙ってやがる。だが、当たるわけがない。片足しか使えないんじゃ動きもたかが知れてる。
一分と経たないうちに左足首もカムイに切断された。そこからは同じ流れだ。
倒れ伏すブラッディオーガ。このまま三回戦が始まるのだろうか……
始まった。
まだ魔法は使えない。
また少し小さくなったブラッディオーガ。やることは同じ。カムイの敵ではない。私はまだ何もしてないな。ドロガーは陽動、赤兜はトドメを担当してるってのに。まあ、楽なことはいいことだ。
同じようなことを何度も繰り返して今、ブラッディオーガの体は全長三メイル程度にまで小さくなった。棍棒はすでに持つことはできないが、どこから取り出したのか剣を持っていやがる。
その剣を使って生意気にカムイの攻撃を防いでやがる。ムラサキメタリックの刀と打ち合って無事な剣とは……
それならそれで私の出番かな。
『螺旋貫通峰』
カムイにばかり集中しているようだったので、つかつかと歩いて近寄り、いきなりぶちかましてやった。身体強化なんか使ってないが、大腿部を貫通することはできた。やるじゃん私。そのまま引っこ抜いて逃走。まともに打ち合っても勝てないからな。後はカムイたちに任せよう。足を奪ったことだし、どうにでもなるだろう。
おっ、ドロガーが足にロープを絡めて正面からは赤兜が対峙か。で、その一瞬の隙にカムイが後ろから首チョンパってか。いい動きしてんなぁ。
さて、次はどうだ? まだ起き上がってくるのか? いい加減いやになってきたんだけどな……
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