1628話 安全サティスファクション

寝ようと思ったらアレクに襲われてしまった。隣ではアーニャが寝てるのに。いや、アレクが眠らせたのか。容赦ないな。

あ、もしかしてドロガーたちが出かけたのは私たちに気を使ったからか? さすがに違うか。外にドロガーたちが居ようと居まいと私たちの行為にはさほど関係ないもんな。


荒ぶるアレクが落ち着いた頃。私たちを眠気が襲ってきた。さすがに疲れが限界だもんな。あー寝よ……




うぅ……ん、よく寝た気がする……

目が覚めてしまったか……

ふふ、アレクもアーニャも寝てるな。私の方が先に起きるとは珍しい。腹は減ってないな……風呂でも入ろうかな。たまには一人でのんびりと……




「ガウガウ」


おおカムイ。帰ってきてたのか。ん? 何だそれ。え? 私に?


「ガウガウ」


ドロガーもカムイも傷だらけ? でも私のために? マジかよ……で、これは何だ? 見た感じはポーションみたいだが。


「ガウガウ」


いいから飲めって? 説明ぐらいしてくれよ……飲むけどさ。


うぐっおっ!?

こ、これ何!? めちゃくちゃ旨いぞ!? ディノ・スペチアーレの二十年物より旨くないか!? うっ!? マジか……魔力が全快してるぞ!? いや? 魔力だけじゃない!

ま、マジかこれ!? なっ、うっ、ギンギンになってる!? 私は一体何を飲んだんだ!?

でも構わん!

今の私は無敵だ! エクスタシーだ!

どこまでも無限に湧き上がる青臭い精力が!

よし!

今行くぜアレク!

寝てるとこを悪いが容赦なく起こしてやるぜ! ふははははぁぁぁーーーー!








〜〜削除しました〜〜









「はぁ……んっ……あぁん……カースぅ……も、もっと……」


「もっと? 奇遇だね。僕もちょうどそんな気分だったんだよね。」


いやー、一体何を飲んでしまったのやら。いかんな。どこまでも湧き上がってくるぞ?

隣にアーニャが寝てようが知ったことか! 行くとこまで行ってやるぜ! とことんな!









〜〜削除しました〜〜








ふぅ……


いやぁ……


最高だった……


汲めども尽きぬ果てしない欲望が……


まったくカムイめ。私に何を飲ませたんだろうね。さすがのアレクも足腰が立たなくなってるな。ならば今度こそ風呂でも入ろうかな。実は私も足腰がくがくだし。アーニャは……このまま寝かせておこう。


「ガウガウ」


おおカムイ。起きてたのか。お前も風呂入るか?


「ガウガウ」


もう入ったからいい? 今から寝るのか。おやすみ。


一人で風呂に入るのもいいよなぁ。よく見たらドロガーやクロミがそこら辺に雑魚寝してるし。赤兜もか。何やってんだこいつら? ふぅーいい湯だな。あははん。




う……いかんいかん……湯に浸かったまま寝てたか……

マギトレントの湯船は湯当たりしないからな。ついつい長湯してしまうんだよな。

どのぐらい寝てたんだろう……上がろうかな。


あら、クロミもドロガーもよく見れば細かい怪我してるじゃん。バカな奴らだ。何を求めて探索に行ったのかは知らんが……『浄化』

まったく……クロミに治してもらわずに寝たのか? 迷宮では小さな傷が命取りになるかも知れないってのに。

まあ、無事に帰ってきて何よりだな。少しは心配したんだぞ? 少しだけな。


何か食べようかな。食べたらまた寝よ。




「いい匂いさせてんじゃねぇか。」


「おお、起きたか。結局何だったんだ?」


「ちっとお宝が気になってよ。さすがにこんな階層にまでそうそう来るこたぁねえだろ? ちらっと宝箱が見えたもんでな。」


「で、罠でもあったのか?」


怪我してるもんな。


「まあな。結構慎重に開けたんだけどよ。猛毒蜂がわらわら出てきやがってな。参ったぜ。クロミがいてよかったわ。」


蜂かぁ。ヤバい奴はヤバいもんなぁ。


「で、結局お宝は手に入ったのか?」


「いや、ロクなもんがなかったわ。おお、魔王が好きそうなもんがあったから置いといたが、まだ飲んでねぇのか?」


「あーあれか。飲んだぞ。何あれ? なかなかいいじゃん。」


「クロミによるとちょっといい精力剤だそうだぜ? 魔王にも効くんだな。」


魔力だって全回復したしね。まあ、そこまで減ってなかったからとは思うけどさ。


「ああ、よく効いた。やっぱ迷宮の産物は違うな。楽しませてもらったわ。ありがとな。」


「すっきりしたみてぇだな。こんな迷宮でお楽しみたぁ大した野郎だぜ。」


「安全地帯だしな。それよりクロミとはどうなんだ? 上手くいきそうか?」


たまには野郎同士で恋バナもありではないだろうか。


「どうだかよぉ……だってあいつぁ魔王にイカれてんじゃねぇか。何をすりゃああんだけ惚れさせれんだよ……」


村を救って……村長の魂を安らかに眠らせた……か?


「クロミから聞いてないのか?」


「まあ、聞いたけどよぉ……」


「どうせ俺にその気はないんだしさ。がんばれ。クロミもお前のことは悪く思っちゃいないみたいだしさ。」


「ああ……我ながら頭ぁおかしいけどょ……あいつぁマジですげぇ女だぜ……あんな女ぁ初めてだ。」


ダークエルフの女はみんなあんな感じなんだろうか。性格は結構違うみたいだけどさ。


「まあ、なんだ……がんばれ。」


「おお……」


応援してやりたいけど、こればっかりはなぁ……クロミ次第だもんなぁ。

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