1594話 快進撃の一行
さてさて、三十一階のボスは……またデュラハンか? でも馬には乗ってないな。うっ、めちゃくちゃ臭い……
背丈は私より少し大きいぐらいか。そのくせ剣がやたら大きいな。
「ドラウグルね。ああ見えてかなりの力持ちだそうよ。アンデッドのくせに少しは知性もあるとか。」
さすがアレクは博識だな。
『ジュギャギョイイイイイイィィィォォオオオーー!』
キモい声出すんじゃねえよ。どうせ魔声だろ? 効くかよ。臭いからもう死ね。
『火球』
ちっ、鉄でも軽く溶けるほどの温度だってのに奴の鎧は健在かよ。多少は赤くなってるけどさ。もっとも、中身はそうもいかないよな。あっさりと燃え尽きた。普通はアンデッドなんかを燃やすとかなり臭いんだが、私の炎だとそんなこともない。やっぱ魔力を込めまくったごり押しは大事だよな。
「もーニンちゃん魔力すごすぎぃー。どんだけ込めたらそんな威力になるのー?」
「カースなら当然よ。」
ふふ、アレクありがと。
「ちなみにその鎧、クロミ要るか?」
結局ここのボスの落とし物は黒い鎧らしい。見た目はシンプルなフルプレートアーマーだが、どうせ呪われてんだろ。私は要らない。
「いいのー? 少ぉし呪われてるけどあんま問題なさそうだしー。じゃあいっただきー。」
やっぱ呪われてるんかい! 見た目だと分からないんだよな。装着してみないと。それにしてもここの迷宮は呪われた装備がよく落ちるな。やっぱここの神は趣味が悪いんだろうな。魔物だってやたらアンデッドだし。
「よし。それじゃあ次行こうか。」
ガンガン進むのだ。
そして到着したのは三十五階の安全地帯。かなりのハイペースだったな。ここまでのボスは全て私が退治した。ちょっと速度を優先したからな。途中だってちょこちょこ飛んだしね。あー疲れた。ちなみに赤兜には出会っていない。さすがにここまでは来てないのかな。三十一階からのボス、ドラウグルって言ったかな。私は魔力でごり押ししたからいいけど、赤兜どもだと真っ向から戦いそうだもんな。かなりの怪力って話だしまあまあ苦戦するんじゃないだろうか。
こうして安全地帯での宿泊を繰り返して、ついに三十九階まで辿り着いた。ここまで色々あったなぁ……
ドロガーが落とし穴に落ちかけたり、広範囲に渡って天井が落ちてきたり。通路自体が幻覚ってパターンもあれば、左にも道があるのに右折しかできない丁字路とか意味不明な場所もあった。
今日のところは安全地帯を探して終わりだ。だいぶみんなにも疲れが溜まってるからな。
現れる魔物はデュラハンだけでなくスケルトンナイトやワイトなどだ。なかなかバラエティー豊かになりやがって。まあ全部潰すだけなんだがね。必殺『
おっ、あの先に見える通路の窪みは……安全地帯かな? いやー疲れた。やっと休めるよ。
「ガウガウ」
「待ってニンちゃん!」
カムイとクロミがほぼ同時に私を止めた。
「どうした?」
「ガウガウ」
「あれってたぶん安全地帯じゃないよ。魔物部屋じゃなーい?」
魔物部屋? そもそも部屋ではないが、あそこに入ったら閉じ込められて魔物がわらわら湧いてくるって感じか。カムイは普通に危険だと言ってるだけだが。
普段なら試しに入ってみるんだが、今はだめだな。先を急ぐんだから。それにしても助かった。うっかり入らなくて良かったよ。
「クロミ、入る前によく分かったな。すごいじゃん。」
「えへへー。だって妙な魔力が流れてたんだもん。まるで召喚魔法を使う寸前みたいなさー。」
すげえな……そんなことまで感知できるのか。使った後ならともかく、使う前だなんて。私にはさっぱり分からないぞ。
「たぶんだが、その魔物部屋は迷宮の慈悲かも知んねーぜ?」
「え、そうなの?」
ドロガーが意外なことを言い始めたな。
「ここの迷宮ってどいつもこいつも剣だぁ鎧だぁ落とすじゃねーか。てことはよ? 食糧を落とす魔物がいねーんだよ。魔王みてぇなバカでけぇ魔力庫持ってねぇパーティーは食糧が足りなくなったっておかしくねぇんだよ。鮮度の問題もあるしよぉ。」
「なるほど。だからここの魔物部屋はもしかして、食糧を手に入れるチャンスかも知れないってことか。」
「まあな。だがどうせ無視して行くんだろ?」
「おう。食糧ならまだまだどっさりあるからさ。先を急ぐぞ。魔物部屋なんかで時間使ってられないからな。」
全部倒すまで出られないパターンとかありそうだしね。どんだけ時間がかかるかなんて分かったもんじゃないもんな。無視無視。
さあ、気を取り直して安全地帯を探そう。ボス部屋を目指して進んでいれば、大抵そのルート上にあるはずだが……
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