1522話 アラキタ制圧
ゆっくりと船をゴンズの上に下ろす。
「ほぉら。がんばれがんばれ。しっかり支えないと潰れるぞ?」
こんなのいくら身体強化使っても無理だよなぁ。そう考えると浮身ってかなり効率のいい魔法だわ。同じものを浮かすにも金操を使うと万倍ぐらい効率悪いし。不思議だねぇ。
「や、やめっ……おっ……あ、あ、あ……」
「素直に話すんならやめるけど? 約束するぜ?」
「はなっ、話すっ! 話すからぁ!」
あれ? 契約魔法が反応しない……
ははぁーん、さてはこいつ……
『解呪』
「ふぐっうぉぐっぶ!」
やっぱな。何かの契約魔法がかけられてやがった。
では改めて……
「素直に話すんだよな? 命は助けてやる。約束するぜ?」
「お、重っ、話す! 話すっうぉつぽぉぉっ!」
よしオッケー。それにしても意外に素直な奴だな。死んでも話さん、ぐらいは言うかと思ったら。では船はあっちに置いておいて……水壁解除っと。
「お前の名前は?」
「ゴンズ……」
そうだろうなぁ。こいつゴンズって顔してるもんなぁ。
「ここのボスは誰だ?」
「ボス……というかアラキタの町長はブレンさんだが……実際に仕切ってんのは俺だ……」
ブレンねぇ。どうでもいいや。
「蔓喰からこの島を奪ってどうする気だ? 全面戦争か?」
「し、知らねぇ……お、俺らはただイトイガさんに言われた通りに動いてるだけだから……」
イトイガ……
あー! 第四番頭ね。
「そいつはどこにいるんだ?」
「そ、そりゃあたぶんトツカワムだろ……」
何だよ、アラキ島に来てないのかよ。改めて潰しに行かなきゃならんじゃないか。もー。
「俺らって言ったな。つまりお前と同格の者がいるってことか。どこにいる?」
「アラナカとアラニシに一人ずつ……」
あー、拠点が三つだから普通に三人で行かせたわけね。おまけにこいつら同士が競争をしてより成果を上げることまで想定してんだろうなぁ。第四番頭やるじゃん。
「もしここが襲われるとか不測の事態が起こった時の連絡はどうなってる? 狼煙は分かった。他に言え。」
「ま、まずトツカワムには鳥を飛ばして……アラナカには狼煙を上げる……」
「それだけか? 転移の魔道具を持ってる奴はいないのか?」
まあ嘘がつけないのは分かってるけどさ。
「む、無理だ……俺らごときにあんなすげぇ魔道具は持たせてもらえねぇ……」
あー納得。そりゃそうだ。だって転移だぜ? 絶対くっそ難しいはずだ。それを魔道具一発で解決しようだなんて。一個いくらするのか分かったもんじゃない。一人一人の魔力に合わせてオーダーメイドしなけりゃ危なくて使えそうにもないしね。
聞きたいことはこんなもんかな。後はカドーデラたちに任せておけばいいや。
「さて、お前はもうここまで喋ったんだ。エチゴヤには帰れないよな? むしろおめおめと帰ったら殺されるか趣味の悪い見世物にされるってところか。」
「お、おお……た、助けて……」
「助けてやるともさ。帰ったら殺されるんなら帰らなければいい。ここで同じように働けばいい。真面目にな? 後で蔓喰のビレイドが来る。そいつの言う通り真面目に働け。そしたら蔓喰に口を利いてやる。約束だ。」
「あ、ああっごっぼぉぉっぱ!」
よーしバッチリ。これでこいつは一生ただ働きだな。せいぜい額に汗して真面目に働くんだな。
「さて、酒を積んでる船はどれだ?」
「そ、それ……」
おお、さっき避けておいたこれか。いっただきまーす。まずは海に浮かべてと……それから飛んで、甲板に降り立つ。
「い、いったいなにが……」
「お、おまえは……」
「ゴンズさんはどう……」
『浮身』
船乗りを攻撃する気はない。たぶんエチゴヤに雇われてるだけだろうからな。甲板にわらわらと集まってきた奴らを片っ端から陸へと移動させる。詳しくはゴンズから聞けばいいさ。
さーて。積荷は……こっちかなー。
はっけーん。全部いただきだな。中身の確認は後でいい。酒樽以外に木製コンテナっぽいのもいくつかあったしね。
よし。他の船やここの倉庫からあるだけ全部欲しいところだが、いくら私の魔力庫だって無限じゃないからな。抑え気味で集めないとな。まだアラナカとアラニシにも行くんだしね。もっともまだ半分以上は余裕で空いているが。
「お疲れ様でございやした。さすがは魔王さん。見事大物を仕留めやしたね!」
こいつが大物なわけないだろ。
「後は上手くやれ。ビレイドに従うように契約魔法をかけてある。働かせ放題だぜ。」
「あ、あ、ありがとうごございます……」
ビレイドの奴、私にビビらなくたっていいだろうに。
「おう魔王よぉ、暴れたんねぇぜ? もっといねぇのか? こいつら殺さねーんかよ?」
おやおや、ドロガーはハイになってるのかな?
「言うのを忘れてたけど、エチゴヤの関係者以外には手を出すなよ? どこまでを関係者と見做すかはお前らが判断するしかないだろうけどさ。もちろんローランド人に手を出したら殺すから注意しろよ?」
「分かってまっさぁ。奴隷っぽいのがローランド人。そうでなければヒイズル人でさぁ。たまぁに南の大陸人もいるかも知れやせんがね?」
南の大陸人か。見たことがないな。比較的色黒なんだったか? 区別がつけばいいんだが。
「まあいい。じゃあ後はカドーデラとビレイドでここの者らをまとめておけ。町長ってのがいるらしいから油断するなよ。」
「ようがす。町長はもう仕留めてやすぜ。可哀想に生かしておく価値がなかったんで殺しちまいやしたがねぇ。」
「へー、やるじゃん。ひと段落ついたら昼飯にするぜ。全員集めな。最高の食事を食わせてやるからよ。」
「おっ、そいつぁ楽しみだぜ。酒もあんだろ? どっさりとよ?」
「あるけど出さねーぞ。宴会はこの件が片付いてからな。もっとも、明日には終わるんじゃねぇ?」
この島ときたら冒険者がいないんだよな。用心棒的な存在はエチゴヤ配下の人間っぽい。つまりそこまで強くない。暴れたりケンカ慣れはしてるんだろうが私たちのような真っ当な冒険者の敵じゃあないね。それとも強いのはアラナカにいるんだろうか? まあそれは昼食後のお楽しみだな。日が沈むまでにはそこまで終わらせておきたいところだが……
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