1521話 アラキタの災難
ではアラキタから制圧することに決定。上空から港を眺めながら作戦会議だ。
「まずはカドーデラとビレイドとドロガーでここの港湾事務所を急襲。前に下ろしてやるよ。で、俺たちは上から監視。港湾事務所に近寄る奴らを片っ端から片付けつつ、慌てて出港しようとする船も止める。」
「いい作戦でさぁ。あっしとビレイドなら内部の敵味方も判断できやすしね。そこに
「へっ、大船に乗った気でいろや。アラキタだけにな!」
ははは……さて。
見たところ人足らしき奴らは大勢いる。何かを積み込んだり、船から降ろしたりしている。あの中に酒なんかもあるのかねぇ。こりゃあ没収だな。
「じゃあ行くぞ。あの建物がどうやらここの中枢だな。あの前に下ろすからしっかり暴れてこい。」
「へいっ! お任せくだせぇ!」
「へっ、やってやるぜ!」
ビレイドは無言だ。少し顔色が青ざめてるようだが気のせいだろう。
おっと、これはサービスだ。
『氷球』
特大の氷球を事務所っぽいところの正面玄関にぶち当てた。これで入りやすくなっただろ。さあ、しっかり暴れてくれよ?
「なんじゃあ!」
「何事かぁ!」
「魔法か!?」
「なんだあいつらぁ!」
「ゴンズさん呼べぇ!」
おーおー、混乱してるね。
「ひぃやあぁぁっ!」
あれ? カドーデラの奴いきなり斬りやがったぞ。敵味方の判別をするんじゃなかったのかよ。
「いぎゃぁぁああーー!」
「なんだぁこいつぁ!」
「バカっ! 近寄んなぁ!」
「早くゴンズさん呼んでこぉい!」
「俺も忘れんじゃねぇぜ?」
「ひょぎゃぃいぃいぃぎぃーーーー!」
「やっ、やべぇって! 誰だてめぇ!」
「ゴンズさぁーーん!」
ふーん。ゴンズってのがここのボスなのか。それとも単に現場主任レベルなのか? 様子見だな。
あっ、あいつらが建物に突入してしまったらもう見えない。つまんないなー。
人足たちの動きは止まった。どいつもこいつもその場からおろおろと動かなくなった。動かない奴は見逃してやろう。
ん?
『水球』
意外に緊急時の備えはきっちりしてんだな。だが残念。本日の天気は大雨、ところにより……『散弾』の雨だ。狼煙を上げようとしたってことはあいつはそれなりの立場ってことだな。ならば見逃すわけにはいかん。散弾だから運が良ければ死んでないだろうさ。
おっと、裏口から何人か出てきたな。慌ててるねぇ。周囲をきょろきょろ見回しちゃって。それじゃあだめだね。上にも注意しろよ。『散弾』
「あそこだぁー!」
「逃がすんじゃねー!」
「囲め囲め!」
「ゴンズさんは呼んだぜ!」
おっと、ようやく異変に気付いたか。メインの建物以外からもわらわらと集まってきやがった。
「のろしぃ上げたんかぁ!?」
「アルバぁ飛ばすか!?」
「いいから囲めや!」
「来た! ゴンズさぁーん! あいつですぜ!」
おっ、噂のゴンズか。でも先に他の奴らをまとめて……『吹雪ける氷嵐』
ほぉら、ひと足早い冬だよ。冬が始まるぜ。
「建物の中に逃げろやぁ!」
お? この大嵐の中、ちょっと太めの声が聞こえたぞ? あいつがゴンズか。ゴッゾと名前が似てんな。紛らわしい。
ほぉう。どいつもこいつもよく訓練されてやがる。動かない足を引きずって建物に向かってるじゃないか。早くしないと凍死するぜ?
さて、避難できたのはだいたい二割か。他は動かなくなっちまったね。
では私は降りよう。カムイ、コーちゃんと一緒に船を見張っててくれよ。出港しそうな船があったら知らせてくれな。
「アレクはこのまま上から見張ってて。」
「ええ、分かったわ。」
よし。では行こう。
「よう。お前がゴンズか?」
「だれじゃてめぇ! どっちにしてもウチにここまでやったんじゃ!
「ウチ? お前らエチゴヤだろ?」
「当たり
おお、やっぱエチゴヤか。てことは蔓喰四天王の二位と四位はもう死んでるな。可哀想に。さて、エチゴヤと分かったからにはもう遠慮はいらんな。
「俺を知らねーのか? この服装を見ても分からねーってことはお前さては下っ端か。ここのボスを出せ。お前じゃ話にならん。」
「てっめぇぇぇーー!」
あっ、キレた。おぉーごっついツルハシ振りかざしちゃって。当たれば必殺だな。
『
「ばなぁっ! いぎゃああー!」
「何やってんだお前? 遊んでんじゃねーぞ。さっさとボスを呼べ。」
自分の足をざっくりやっちゃったね。うわぁ痛そう。
『水壁』
うぅーん、懐かしいなぁ。昔はこうして絡んできた奴の剣で足を刺してから水壁に閉じ込めたんだよな。この流れはいつぶりかな。
顔だけ出して……水圧十倍、水温アップ。
「はあぅ……む……はぉ……いぎっ……」
「で、お前はゴンズって言ったか? このアラキタを仕切ってんのは誰だ?」
「だ……誰が言う……か……」
「別に言わなくてもいいんだけどな。あれを見てみろよ。あの建物がここの中枢だろ? あそこに蔓喰の人斬りカドーデラと五等星の傷裂ドロガーが乗り込んでる。そろそろ全滅するころじゃないか?」
「な……人斬り……傷さ……き……」
水温アップ。
「ガウガウ」
おおカムイ。船が出るって? あれか。
『浮身』
前国王の船に比べたら全然大した大きさじゃない。あの程度の船なら余裕で浮かすこともできる。
「さて、あの船をお前の上に降ろそうな。両手を自由にしてやるから支えてみるか?」
「あ……そん……な、バカ……な……」
一体何トンあるんだろうねぇ。アレクなら正確に計れるんだろうな。すごいぜアレク。
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