1300話 焼肉ライブパーティー
『風斬』
身動きの取れないボストロルから内臓を切り取る。心臓を全部取ってしまうとすぐに死んでしまいそうだから他の臓器をメインに取ろう。
カムイのリクエストで肝臓。コーちゃんのリクエストで心臓を三割ほど。
うーん、こいつ凄いな……
内臓を切りとってるのに次から次へ再生しやがる……
「ピュイピュイ」
軽く焼いて欲しいのね。
「ガウガウ」
薄く切ってほんの少しだけ塩を振れ? よし、任せろ。
そろそろ私も食べてみようかな。まずは心臓、ハーツを焼こう。さすがに生で食べる気はないからな。おっ、結構おいしいな。さすがにあの時食べたクイーンオークほどの味ではない気はするが。
「アレクもどう?」
「そ、そうね……食べてみるわ……あ、美味しい! やっぱり鮮度が違うとこんなに味が変わるのね!」
「だよね! 美味しいよね!」
よし、今度は各種ホルモンといこうか。ほほう、さすが迷宮の魔物だけあって胃袋や腸が空っぽだ。これは仕込みが楽でいいな。ちょいと浄化をかけて、細かく刻んで……と。よーし焼くぜ。
やっぱり脂が凄いな! ミスリルボードの上で焼いているのに火が点いてしまったではないか。どれどれ味は……おおー、旨い。脂の甘みを感じると言えばいいのか、新鮮なホルモンとはここまで旨いものなのか。切りとってから五分ぐらいしか経ってないもんな。
さて、次は……背中から腰にかけての肉を狙ってみよう。サーロインはあるかなー。
なかった……全部赤身だ……
まあいいや。これはこれで旨そうだし。
「ガウガウ」
おっ、カムイも食べるか? 焼くから待ってな。コーちゃんも食べるよね。
ふぅー。腹いっぱいだ。いやむしろはち切れそうだ。昼飯を済ませてからそんなに時間が経ってないうちに食べたから当たり前なのだが。
「じゃあトドメを刺すね。」
腹は満たされたらボストロルには用無しだ。死んでもらおう。
『火球』
ちなみに食事中はトロルの絶叫がうるさいので口に消音をかけておいた。おかげで静かに焼肉を楽しむことができた。
頭を燃やされる直前のあいつの表情が心なしか安らいだのは気のせいだろうか?
「ねぇ、カースの魔力庫って物が腐らないじゃない? トロルの肉を溜めておかなくてよかったの?」
「少しは考えたんだけど、やめたよ。あいつとはこれから何度も会うだろうし、そもそも魔力庫が肉だらけだしね。」
本当の理由は何度も解体をするのが面倒だったからだ。ここの魔物は倒しさえすれば少量とは言え、勝手に素材となってくれるんだから。その手軽さを経験してしまったために、もう解体が面倒でたまらなくなった。これは外に出てから苦労しそうだなぁ……
さあ、地下三十二階だ。ここの魔物は……またトロルかよ……
さすがにさっきのボスほどは大きくないが……ちょっと相手にするのが面倒だなぁ……
だが仕方ない。少し眠いので安全地帯に着くまでは気合を入れていこう!
『火球』
『火球』
『火球』
やはりしぶといトロルは頭を燃やすのが一番だな。風斬で首を狙ってもいいのだが、一撃で首が飛ばないんだよな。首が半分切れたぐらいだと再生するし、私もまだまだか。
そうやってトロルを倒したり、宝箱で外れを引きながらも安全地帯に到着した。体感的にはまだまだ夕方ではないが、今日はここまでだ。
「ピュイピュイ」
えー? もうお腹へったの!? さっきあれだけ食べたのに!
「ガウガウ」
分かってるって。カムイは手洗いしろってんだろ。じっくりわしゃわしゃ洗ってやるって。
私がカムイを洗っている間、アレクが料理を作ってくれていた。これは……
「おいしい……なんだかじんわりと沁みるね。」
「今日はたくさん食べたものね。お腹に優しいスープを作ってみたわ。と言ってもカースが買った食べ物の中にあったものだけど。どうやらお湯をかけるだけでいいみたいよ。」
まさかのインスタント!?
そんなものがあったとは。大量に買いはしたけど中身なんかチェックしてないもんな。
よく見てみると、
そして……当然のようにアレクはスープに慈養強壮の何かを入れていたらしく……まだ早い時間にもかかわらずハッスルする私達だった。まったくアレクったら、悪い子なんだから。長い夜になりそうだ……そろそろ秋だしね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます