1301話 招かれざる客
目覚めたのは朝、いやたぶん昼。ふぁーあ、昨夜は盛り上がったよなぁ。だから寝るのが遅くなったんだよね。どうも疲れが溜まってるのかな。あ、そりゃそうだ。かなりのペースでここまで潜ってきたんだから。
よし、なら今日は休みにしよう!
たいして広くもない安全地帯だけど風呂に入ったりアレクとイチャイチャしたり、やることはいくらでもある。それがいい!
むにゃむにゃとアレクも起きてきた。朝からかわいいぜ。
「アレク、今日は休みにしようよ。疲れが溜まってきたからね。」
「それもそうね。もう何日経ったのか分からないし、精神的な疲れも溜まっているわよね。」
まったくだ。かなり快適な攻略をしているとは思うが、目に見えない疲れはきっとあるよな。今日はしっかりリフレッシュしよう。
朝食後、一時間ほど棍を振りいい汗をかいた。それからゆっくりと錬魔循環。体調を確認するかのように全身に満遍なく魔力を流す。やはり基礎は大事だからな。
その後アレクと対戦形式で軽く魔法の撃ち合いをしてから昼食。あー旨い。
昼からは湯船に浸かりながらアレクと一献。さしつさされつだ。ふふ、一献じゃあ済まないね。
ちなみにコーちゃんはカムイの首に巻きついて迷宮探索に出かけてしまった。たぶん夕食までには帰ってくるだろう。
そうすると私とアレクは二人きり。誰に憚ることなくイチャイチャできる。もしかして気を遣ってくれたのかな?
心地よい疲労とともに眠っていた私達だが、ゴンゴンとシェルターを叩かれる音で目を覚ました。
「うーん……カムイが帰ってきたのかな……」
「きっとそうね。私が出るわ。ついでに夕食の支度もするから。カースは休んでいて。」
「分かった。ありがとね。」
アレクは換装を使い全裸にケイダスコットンのワンピース一枚のみを着て、外に出ようと『浮身』を使った。
ザシュッ
ん? なんだ今の音は?
ゴカッ
なっ!? シェルターの壁から剣先が見える! 攻撃されてる!
「アレク! 装備を整えて!」
私も換装を使った。
「分かったわ!」
くそ、どこのどいつだ! 私は慌てて上から外に出た。あいつら……赤兜か!
『白弾』
ピラミッドシェルターに剣を突き立てていた奴を始末した。
「なっ!? き、貴様、何奴!?」
「よくも隊長を!」
『火球』
『火球』
いきなり魔法かよ。あ、私もか。だがそんな火球など効くか。
『白弾』
『白弾』
『白弾』
ぬっ、三発目が弾かれた……ムラサキメタリックの鎧に換装しやがったか……
「一息に二人も仕留めるとは……」
「だがこの鎧は貫けなかったようだな!」
「吐いてもらうぞ? 貴様は何者だ!」
「お前らこそ何様だ? 人の大事なテントに穴を開けやがってよ。」
魔境のオーガの猛攻に二十四時間耐えられる設計なのに……あっさりと穴なんか開けやがって。剣のせいだな。ムラサキメタリック製だもんな。
「ふざけるな! そのような面妖な建造物のどこがテントだ!」
「誰の許可を得てここに潜っておるか!」
「ここまでやったのだ! 覚悟はよいな!」
ちっ、ムラサキメタリックの装備をした騎士が三人か……嫌だなぁ……『紫弾』
一人仕留める間に接近された! くそ、ヤバい! とっさに一人の剣を籠手で受け止める。くっそ、シャツが切られた! もう一人はアレクの魔法で一瞬だけ足止めに成功している。
今のうちにオラぁ! くらえ金的!
「愚か者が! この鎧にそのような貧弱な蹴りが通用するか!」
愚か者はお前だよ。『紫弾』
「アギャッボァガァァァァーーーー!」
私は全身どこからだって魔法が撃てるんだよ。もちろん爪先からもな。だから股下から脳天に向かって撃ち込んでやったよ。紫の弾丸をな。
だが、その蹴りによって私の右脚が伸びた瞬間、膝に向かって紫の剣が振り下ろされた!
「痛って! くそ! やりやがったな!」
「バカな! なぜ切れん! 腕といい、それほどの装備だと言うのか!?」
いくらムラサキメタリックの剣でもドラゴンの装備はそうそう切れまい。私の籠手だってエルダーエボニーエント製だからな。もっとも腕次第では切れるだろうけどね。でも危うく右膝が折れるところだった……私の装備は関節技に弱いもんな。それにしても、こいつら連携はなかなかやるんだよな。間髪入れず攻撃してきやがる……だが、残り一人だ。
「切れない理由は簡単さ。お前の腕がヘボいからだろ。ムラサキメタリックの剣が泣いてるぜ?」
「ぬかせ! 貴様ごとき若造に何が分かる!」
不動を構え対峙する。あまり紫弾を撃ちたくないんだよな。
「そのような棒っきれで俺の
あやめ? 変な名前。私の不動の方がかっこいいな。
剣と棍による打ち合いが始まった。腕は奴の方が上、だが間合いの有利はこちらだ。その結果、膠着状態が続いている。
しかし、有利なのはこちらだ。あいつはきっと探索の後、疲れた体を引きずってこの安全地帯にたどり着いたのだろうからな。片やこちらはたっぷり寝た後だ。おまけに……『氷球』
一対一じゃないからな。アレクのナイス援護! 奴の頭に氷球がぶつかる。いくら魔法無効でも衝撃は消えまい。ほぉら隙ができた!
『螺旋貫通峰』
「うぐあっ!」
「ここまでだ。負けを認めるなら命は助けるぞ?」
不動が鎧の腹を貫いている。この状態になればもう詰みだ。
「ぐうぅっ、き、貴様、何者だ……」
「そんなことはどうでもいいんだよ。死にたいのか死にたくないのか選べ。こっちだってエチゴヤじゃないんだ。命乞いする相手を殺すような真似はしないさ。」
「こ、殺せ……我ら誇り高き赤兜騎士団に敗ぼ『火球』
あーあ。死んじゃった。結局ゲットしたの赤い鎧とムラサキメタリックの鎧が三セットずつか。おまけに剣も数本だな。あいつらが集めた素材は全て消滅してしまったが、まあよしとしよう。あー疲れた。紫弾って一発撃つだけで私の魔力を
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