第1250話 カース、面倒を見る

到着。あ、昨日の深紫の奴らが集まってる。そうか、こいつらには本拠地で全財産かき集めて、関係者も連行して来いって言ってたもんな。


「お前らご苦労。まずは先に全財産をここに出しな。」


浜辺に鉄ボードを敷く。深紫どもが順々に現金や金塊、宝石などを置いていく。結構いい金になりそうじゃないか。正確な計上はまたでいい。とりあえず今は収納しておこう。


腐れ騎士どもが物欲しそうな目で見ていたな。


そしてエチゴヤの関係者も数人だけ集まっている。えらく少ないな……


「そっちのお前、エチゴヤの関係者なんだよな?」


「あ、へ、へい……」


「何かエチゴヤ上層部の情報はないのか?」


「あっしごとき下っ端が知ってることなんざぁたかが知れてやすが……何かお知りになりたいんで?」


「んー、そう言われるとなぁ。他の番頭の居場所とか、ボスの居場所とかだな。正直エチゴヤに関しては分からないことが多すぎてな、いちいち潰しに行くのも面倒になってきたもんでな。」


「第四番頭の情報でしたらありますぜ? どうです、大判一枚で?」


「別にそれぐらいくれてやってもいいが、正直に言うと約束しろよ?」


「へい、もちろんっでさぁあっぐぉっ……契約魔法ですかい……こんなに強烈なのは初めてでさぁ……」


よし、かかった。こんな下っ端が幹部の情報なんか持ってるのか?


「ほれ、大判な。」


小判が十万ナラー、大判は一千万ナラーだったか。深紫どもが集めた金があるから楽勝で払えるな。


「へ、へへ……こいつぁ剛毅なこって……ようがす。何でも聞いてくだせぇ」


「じゃあまず第四番頭について知ってることを全部話してもらおうか。」


「へ、へい」


ふむふむ。

第四番頭の名は『クラギ・イトイガ』

本拠地はヒイズル南方の街『トツカワム』

この下っ端の名前はチョムカ。これでも第三番頭アガノのパシリ的側近だったそうだ。昨日突然深紫ディパープルの襲撃で全壊となった本拠地内の数少ない生き残り。抵抗しなかったために殺されることなくここに連行されたと。反抗したら殺せって命令したもんな。こいつは機を見るに敏な奴だったんだな。そりゃあ生き残るわ。

財産もこいつが進んで差し出したためにスムーズに集めることができたそうだ。一応聞いておくか。


「エチゴヤの財産はさっきので全部だな? 隠してたら殺すぞ?」


「あっ、あのっ! 女や奴隷……は?」


あー、そんなのもいたのか……


「全員解放しろ。もしローランド王国の民がいたらここまで連れて来い。そこの深紫ども、行ってこい!」


エチゴヤの悪事の後始末か……なんでこんなに面倒を見てんだ? まあ財産はどっさりゲットしたが。たぶん一億や二億ナラーじゃきかないぐらいあるよな。儲かった。


「偽勇者については何か知ってるか?」


「たぶんですが……気の触れた大男のことでさぁね? あいつの事は誰も知らねぇんでさぁ……頭がイカれすぎてて、どいつもこいつも持て余してローランドに行かせたって感じみたいですぜ?」


ああ……なるほどね。自分を本気で勇者ムラサキだと思ってる奴なんてそりゃそうだわな。しかもここはヒイズルだし。意味が分からん。あいつってヒイズル人だったのか? まあどうでもいい。それより気にすることは……


ローランド行きの船を手配することかな……

ここはやはりオワダ商会しかないな。あーもー、なんで私がここまで面倒見てんだよ! お人好しすぎんだろ!


「おい、そこの深紫! お前らの中でバンダルゴウに逃げたい奴はいるか?」


奴らは互いに目配せをした後に返答をしてきた。どうせ私に絶対服従なのだから嘘などつけない。その結果、全員がバンダルゴウに逃げたいということが分かった。まあ当然か。あっちにもエチゴヤの手は伸びてるんだろうがこっちよりマシなのか。


てことは……?

バンダルゴウ送りにするのは……


シーカンバーの裏切り者一家と、両手両足をぶち折った青紫烈隊の奴と深紫の奴らと、今から救出されるであろうローランド民ってところか。どんどん増えるな……


よし、気を取り直して……


船をドーン!


今度こそ船内探索に行くぞ!

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