第1248話 猛るアレクサンドリーネ
おっ、アレクどうした? ずずずいっと前に出てきたぞ。
「あなた、マナオ・クロタキと言ったわね。さっきから随分と上から口を利いてくれたものね。地方の領主風情が。分かってないようだから説明してあげるわ。」
「なっ、きさま誰に向かってそのような口を!」
お前だよ。アレクの正論が炸裂するのか?
「まずカースよ。彼はローランド王国先王様や現国王であらせられるクレナウッド陛下から直々に直属の身分証を与えられた程の男。もちろん
で、カース相手だと分が悪くなったから次は私ってこと? 口の利き方といい随分と舐めてくれたものよね。この、ローランド王国四大貴族の血を引くアレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルを! この名が覚えられないなら体に教えてあげるわ!」
「くっ、こ、この小娘が!
うーん、これは爽快な口ぶりだ。さすがアレク。
「で? 誰が私の相手をしてくれるの?」
「うぬぬぬ……セカナ! やれぇ!」
「かしこまりました」
また侍女か。私の油断を誘うためとか言ってたが実は騎士より腕が立つからなんじゃないか?
「セカナは妾の側近じゃ! ただの侍女とは格が違うからの!」
「お相手いたします」
「私は魔法を使ってもいいの?」
「駄目に決まっておろうが! 魔法なしでの模擬戦だと言うたであろう! 用意はよいな! 始めぇ!」
この領主はどこまでも自分ルールが好きだな。でも……相手が悪いぜ?
「どこからでもかかっ、危ない!」
「はい隙ありね。」
うわぁ……これは酷い……
大腿部に深々とサウザンドミヅチの短剣が突き刺さってるじゃないか……アレクの前で隙なんか見せるから。
つーか、アレク……私よりエゲツないぞ?
私は攻撃を防ぐのに領主を利用したが、アレクは領主に解体用ミスリルナイフを投げた。それを慌てて防ごうと背中を向けたところに後からザックリと……
まあ、アレクに魔法なしってのは無茶だよな。か弱い女の子なんだから。こうするしか勝つ方法がなくなってしまうんだから。
「ここまでね。まだやるの? 今なら充分助かると思うけど。」
「くっ……ローランドの者は卑怯者の集まりか……」
「まだやるのね。カース、それ貸してくれる?」
「いいけど重いから気をつけてね。」
不動って鉄パイプ並みに重いんだよな。威力は鉄パイプどころじゃないけど。
「ありがとう。うわぁ重いのね。じゃあ続きをするわよ。」
「そんな棒っきれで私にっ」
あ、終わった。足を引きずって歩くぐらいなんだからもう戦える状態じゃないのに。参ったすればよかったのにね。アレクに横っ面を叩かれて終わった。
「返すわカース。私の細腕には重すぎるみたい。」
「はは、じゃあそのうちエビルヒュージトレントの木刀でも作りたいところだね。」
あれは軽いし丈夫だし最高だったな。ムラサキメタリックには勝てなかったけど。
「ぐぬぬぬ……おのれぇ……よくもセカナまで……! ええーい構わん! 全員でやってしまえ!」
あらら、騎士達が抜剣したではないか。結局こうなるのね。
それなら『榴弾』
ふん、やっぱりか。どいつもこいつも雑魚ばっかり。侍女より弱い騎士って……マジか? 纏ってる鎧だって薄っぺらいし、榴弾が貫通し放題だったじゃないか。
「あ……あ……そ、そんな……」
地面に座り込んでいるのは領主。こいつには当ててないからな。他の奴も瀕死ではあるが誰も死んでないはずだ。別に殺人が好きなわけじゃないんだから。こんなことだから母上に甘いと言われてしまうんだろうな……
「さて、領主ちゃんよ。話をしようか。結局俺らを呼んで何がしたかったんだ?」
「あ……う……」
返事がない。だから顔を蹴り飛ばす。
「ほれ。話してみな。命は助けてやるからさ。」
「ぐううっ、ね……妬ましかった……その女が……」
はあ? 何言ってんだこいつ?
「アレクが妬ましいってことか? そんな理由で呼んだってことか?」
「ち、違う……呼んだのはそなたらに興味があったから……エチゴヤを倒すほどの度胸と腕前……あんな糞のような奴らと付き合うのは嫌で……」
「やっぱ関わりがあったのか。それで? どこからそんな事になったんだ?」
「妾は半ば捨て
「おいっ! どうした! しっかりしろ!」
「カース、無駄よ……死んでるわ。」
一体どうなってんだ……?
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