第1153話 楽園の日常
うーん、一年見なかっただけなのにリリスの体が充実してないか? 色気が増している気もする。
「元気そうだな。まあ入れ。中で話そう。」
「失礼いたします。」
体を流してから入浴。ここの湯船にはそんなことをする必要はないが、それでも好感が持てるね。
「この一年どうだった? 何か問題は起きたか?」
「いえ、何も問題ありません。一部不埒な冒険者もおりましたが対処は済んでおります。」
「そうか。問題ないならいい。一週間ほど滞在したらまた出かけるから。何か必要な物があったら言ってくれ。用意するから。」
「ありがとうございます。女の補充があれば助かります。何人か死にましたので。」
何人か死んでるくせに問題なしと言うリリス。恐ろしい奴だな。
「分かった。リゼットに相談してみよう。あくまで今の居場所から逃げたい女しか連れて来ないからな。」
奴隷を買ってまで補充する気はない。あくまで逃げ場を用意してやるだけだ。
「もちろんです。よろしくお願いいたします。明日にでも旦那様の取り分は上納いたしますので。」
「おお、楽しみにしてるよ。」
そうだったな。この楽園がまさに男達の楽園になりつつあるんだもんな。リリスも上手いことやるもんだ。一年でどんだけの稼ぎがあることやら。
「先に出るが、リリスはゆっくり入ってていいからな。」
「お先。」
「ガウガウ」
「ありがとうございます。」
風呂から出てみると脱衣所にメイドゴーレムがいた。猫耳のアンだったかな?
「何やってんだ?」
「リリス様の入浴中に不埒な真似をする者がいるため警護しております」
「なるほど。がんばれよ。」
言葉は無機質だが意思の疎通ができるってのは凄いな。高かったもんなぁ。
「カース、何か食べない? 私作るわ。」
「ぜひお願い。ここで食べるのも久々だもんね。」
「ガウガウ」
食堂に移動すると、何人か冒険者がいた。もしや飲食物も提供しているのか? リリスは多角経営してんのかな。やるねぇ。
座って待ってるとそいつらが話しかけてきた。
「よう、おめー昼間っから精が出るじゃねーか。初めて見る顔だがここにはいつ来たんだ?」
「俺らは先週来たんだがよ。ここぁいいとこだよな。はるばる砂漠を越えて来たかいがあったぜ。」
「今朝来たばっかだな。特に風呂がいいだろ?」
「風呂かぁ……かなりいいって聞くけどよぉ。風呂に入るには泊まりにしないとダメなんだよな。部屋もいいし女もいいから泊まりで遊びてぇんだが……やっぱ高ぇよなぁ……」
「だよなぁ……せいぜい三時間遊んでここで飯食うのが精一杯だぜ。まぁ、今からがっぽり稼いでよぉ、一回ぐらいはドーンと遊びてぇよなぁ……」
ほほう。リリスめ、ますますやるなぁ。色んなプランを提供してるのか。泊まりにしたら風呂にも入れると。外の掘立小屋に泊まるより、ここの部屋に泊まった方がよほどリラックスできるもんな。
逆に風呂だけのプランがあっても良さそうだが、それをしないってことはリリスに何か考えがあるんだろう。口を出す気はないし。そもそも外の公衆浴場はタダだしね。
「カース、お待たせ。」
「全然待ってないよ。ありがとね。」
「ガウガウ」
うーん、美味しそう。
「おっ、おめー女連れでここに来てんのかよ……しかもめちゃくちゃマブい……」
「ん? 待てよ……その服装……白い狼……で、カースだと……? まっ、まさかぁ! 魔王!?」
「おっ、正かーい。うちの
「まさか……ここでもう出くわすとはな……」
「じゃ、邪魔してるぜ……」
「おう。まあそんなに気にするな。お互い冒険者なんだ。助け合いが大事だもんな。ここのルールはきれいに使うことぐらいだからよ。気軽に仲良くやろうぜ?」
「お、おお……」
「よ、よろしく頼む……」
「あ、そうそう。金に困ったら言えよ。貸してやるからさ。何なら素材を買い取ってやってもいいしな。まあ俺がここにいる間だけだがな。」
ここにはギルドがないからな。現金を持っていなければ魔石や肉などの素材で払うしかない。とことん遊びたいのに金がない奴には不親切だからな。
「お、おお……ぜひ頼む……」
「あ、ああ……よろし……」
何というか、自分の作った場所に来客が来るってのは嬉しいものだな。長旅が終わったら内政に尽力してみるのもいいかも。
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