第1152話 楽園への帰還

うーん、昨夜は燃えたな。久々にアレクとの熱い夜だったもんな。アレクの燃え上がりっぷりときたら、まさに飢えた獣だったな。かわいいやつめ。


「おはよう……カース……」


「おはよ。起きたね。昨夜はかわいかったよ。いや、アレクはいつも可愛いけどね。」


「恥ずかしい……私ったらあんなに……だってカースがずっと……」


ずっとできなかったもんなー。私だって我慢してたんだぞ。あ、そうだ。それなら焦ってヒイズルに行かなくても一週間ぐらい楽園に滞在してもいいよな。うん、それがいい、そうしよう。




村長達と朝食。次はいつここに来れるかな。


「じゃあ村長。ダークエルフ達をよろしくお願いします。」


私が言うことでもないけどね。


「当然。もはや我らは同胞だからな。」」


おお、ダークエルフ達が喜びを隠しきれない顔してる。そうだった。エルフって同胞って言われると喜ぶんだったな。


「お世話になりました。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


「うむ。またの会う日を楽しみにしておりますぞ。」


「ニンちゃん……本当はウチも行きたいけど……」


「村の復興があるんだろ? クロコの分までがんばりな。」


一緒に来られても邪魔だしね。ではさらばフェアウェル村。


「おっと、坊っちゃん待ちな。忘れ物があるぜ?」


「あ、クライフトさん。もしかして例のあれ、できてる?」


「おおよ。せっかく作ったんだからよ。全部持ってけ。」


「おおおー! ありがとう! これはすごい!」


円月輪、盾、ナイフ。全てオリハルコン製だ。これだけ作ってもらったのに、もう少しだけオリハルコンは余っている。これはこれで使い道があるんだよな。


「最高の出来だね。ありがとう。じゃあまた来た時に感想言うね。みんなもまたね!」


今度こそ出発だ。






「アレク。ありがとね。おかげで婆ちゃんを救うことができたよ。」


「私は何もしてないわ。お義母様や伯父様、マリーさんやカムイのおかげよ。もちろんコーちゃんも。」


シャルロットお姉ちゃんの名前は出ないのね。


「アレクがいたから頑張れたんだよ。ありがとう。」


「おばあ様が苦痛に呻く声……本当にお救いできて良かったわ……」


「ホントだね……そりゃあできれば命まで助けたかったけどさ……あれはたぶん禁術を使った時点でもう死んでたんだよね……」


フェアウェル村の村長だって、魂を救ったって言ってたしね。


「きっとそうね……総代教主は生き返ったかのように見えるけど……あれは本当の禁術じゃなかったからなんでしょうね。」


同じ禁術でも人間が使った場合と婆ちゃんのような半分ハイエルフになりかけが使った場合では威力が桁違いなんだろうな。解毒を使った感じからしても間違いないよな。




さて、そんな話をしていると楽園エデンに着いた。リリスは元気にしてるかな。


おお、マジか……

掘立小屋がめっちゃ増えてる! ざっと二百戸ぐらいないか? すごいな……


懐かしき自宅へ。玄関は……開いてる。昼から元気に営業中かな。


「おかえりなさいませ」


おっ、執事ゴーレムのバトラーだ。さすがに私のことを忘れたりはしないよな。


「リリスはいるか?」


「現在視察に出かけられております」


すげえなあいつ。領主かよ。


「そっか。風呂は空いてるか?」


「はい。現在どなたもご利用されておりません」


「分かった。アレク、行こうか。カムイも洗ってやるよ。」


「ええ、久しぶりね。」


「ガウガウ」


いやーここの風呂も久々だよな。


「あ、そうだバトラー。リリスが帰ってくるのが、俺らが風呂に入っている間なら顔を出すよう伝えておいてくれ。それ以降なら出さなくていいと。」


「かしこまりました」


ちなみにコーちゃんは帰った時に玄関前の銀湯船に入っている。





はぁー。風呂はいいねぇ。落ち着くよねえ。


「外で入るお風呂もいいけど、こうやってカースのおうちで入るのもいいわね。」


「だよね。やっとアレクとのんびりできるもんね。一週間ぐらい滞在しようね。」


退廃的に過ごすのさ。


「うん。やっとカースと二人っきりね。」


「アレク……」


「カース……」


「ガウガウ」


もぉ……カムイめ。イチャイチャする前にさっさと洗えだと? 生意気なやつめ。洗ってやるさ。わしゃわしゃ。


「ガウガウ」


もっと強くだと? よーし任せろ。


「ガウガウ」


そうか。気持ちいいのか。お前にも助けてもらったもんな。ありがとな。




「旦那様、お帰りなさいませ。」


「おおリリス、ただいま。」


あら、リリスめ。裸かよ。まあここは風呂だから当たり前と言えば当たり前だが。

熟れた身体してんなぁ。

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