第265話
私が目を覚ましたのは自分の部屋のベッドだった。起きてみると外は明るい。
居間に降りてみると母上とキアラがいた。
「おはよ。今何時?」
「おはよう。十二時前、今からお昼ご飯よ。食べられる?」
「うん、食べたいよ。ホントに疲れたよ。僕はいつ頃帰ってきた?」
「昨夜の十時前かしら。よく頑張ったわね。」
そんなに遅かったのか。アレクに会ったことは覚えてるんだけど。
体中が痛い。左上腕の傷はもう治ってる。きっと母上が治してくれたんだ。服も自宅用の普段着だし、体もさっぱりしている。マリーかな。
昼食も食べたことだし、風呂に入ろう。そしてアレクの所に行こう。
少し寝てしまったがいいお湯だった。すっきりだ。それにしても世の中の冒険者達はあんな風に魔境を歩きまわっているのか。私には無理だな。
風呂から上がったらみんなが来ていた。居間にて母上やキアラとお喋りしているではないか。いつの間に。
「やあみんな。昨日は大変だったね。」
「昨日は途中で倒れたみたいで迷惑かけてごめんなさい。助けてくれてありがとう。」
サンドラちゃんが意外としおらしい。
「それを言い出したのはスティード君だよ。僕はどうしたらいいか分からなかったんだから。」
「聞いたわ。それでもありがとう。私達を先に行かせて魔物を足止めしてくれたことも。」
「いやー、あれは誤算だったんだ。楽勝かと思ったら意外とてこずってね。でもみんな無事でよかったよね。」
それからみんなでお茶を飲みながらワイワイとお喋りをしていた。母上に説明する手間が省け「みんなよく頑張ったわね。」と褒められた。ふふふ。
みんなで楽しく話していたらもう夕方。みんなで夕食を食べることになった。それなら私も魔力庫大放出といこう。
トビクラーやシーオークの肉がまだ残っている。みんな疲れているだろうに来てくれて嬉しいので大盤振る舞いだ。
みんなは喜んで食べてくれた。アレクの口数が少なかったのが気になる。私と目が合うと顔を赤くして目を逸らすのだ。
また何か良からぬことを考えているな? 全く可愛いやつめ。
途中から父上も帰ってきて、さらに楽しい夜になった。いつもよりたくさんエールを飲んでたみたいで上機嫌な父上だった。
きっと父上の武勇伝にみんなが凄い凄いカッコいいと賛辞を惜しまなかったからだろう。私も本気でカッコいいと思ったのだから当然だ。
ちなみに全員の馬車はすでに帰しているので、マリーが送っていくことになった。我が家の馬車は小さく、四人乗りなので私は乗れない。門から見送るのみだ。
こんないい友人に恵まれて私は幸せだ。
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