第245話
アレクに連れて来られたのは、いかにもデートスポット、芝生エリアだ。
すごい、まるでニューヨークのセントラルパークのようだ。街中にこのようなエリアを作るなんて素晴らしい贅沢だ。さすがにあそこまで広くはないが。
私達は木陰に移動し横になる。アレクも眠そうなので私の腕枕で寝てもらう。最近キアラに触発されて水で枕を作ったりするのだが、とても具合がいい。そいつを併用しているので、私の細腕でも腕枕が可能なのだ。
もちろん自分にも水枕を使う。これはよく眠れそうだ。
いい気分だ。これが夢と分かる程度に微睡んでいると、急に自動防御が反応した。かなり強い魔力だ。くそ、まだ眠いのに……
目を覚ますとそこには姉上が居た。
「おはよ。久しぶり。もう少し寝てたかったよ。」
「アンタねー。こんなとこで呑気に昼寝って。何か魔力を感じたから大丈夫なんでしょうけど。」
アレクも目を覚ました。
「おはようございます。アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルです。お目にかかれて嬉しいです。」
「……ご丁寧にどうも。姉のエリザベスです。似た者カップルのようね……」
「そう? 照れるなぁ。それよりあれから兄上とはどうだったの? ゆっくりできたんでしょ?」
「もちろんゆっくり過ごしたに決まってるじゃない。でもここじゃだめね。兄上のファンが多すぎて……クソ虫どもが……」
さすが兄上。大人気なのか。
「よくここが分かったね。」
「芝生で寝てる子供がいるって聞いてね。まさかとは思ったけど……本当にカース達とはね。」
「最近昼寝の習慣がついてしまってさ。食後は眠くなっちゃうんだよね。」
「お昼はどこで食べたのよ?」
「アレク、どこだった?」
「ベイルリパースよ。」
「げっ、あんな高級店行ったの!? まさかアンタ、アレクサンドリーネちゃんに出させたの?」
「いやいや、僕が出したよ。たまたま臨時収入があってね。」
「そう、それならいいわ。今夜は私がご馳走してあげるわ。まずはお茶でも行くわよ。アレクサンドリーネちゃんとも話してみたいしね。」
「お姉さん、ぜひアレックスちゃんと呼んで下さい。」
自分をちゃん付けで呼ぶ所も可愛いぜ。
姉上は何やらピクッと反応したようだが。
茶店に移動した私達は意外と話が弾んだ。
思えば小さい頃から姉上とはじっくり話したことがなかったような気がする。それを取り戻すという訳ではないが楽しい。
アレクと姉上も初対面にも関わらず話が合うようだ。アレクの二人の兄も領都にいたので、姉上も少し知っていたとか。
態度の悪い女子寮の受付だが、原因が面倒くさかった。男性の訪問を受ける女子が気に入らないらしい。それにイラついて極力男性を遠ざけようとしているとか。肉親まで遠ざけたら問題にならないのか? 緊急の用事とかあるだろうに。
どういう訳か姉上はアレクが気に入ったらしい。妹がいなかったからかな? キアラとは私以上に話してないだろうし。
その流れで服を見に行くことになった。
これからが本当の地獄ってやつだろうか?
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