第235話

遠回りだが、ギルドに行く前に自宅に寄る。


「ただいま。」

「お邪魔いたします。」


「おかえりなさいませ。アレクサンドリーネ様もようこそいらっしゃいました。」


「母上いるかな?」


「いらっしゃいます。」


居間にて。


「ただいま。」

「お邪魔しております。」


「二人ともおかえり。早かったわね。」


「実はね。サウザンドミヅチらしき魔物を倒したんだよね。で、例によって母上がやったことにして欲しいんだよね。」


「もちろんいいわよ。それよりサウザンドミヅチが一体どこにいたの? 」


「ここから東に十五キロル辺りかな。そんな近くにあんな大物がいるなんてね。」


「それは怖いわね。幼年期を地中で過ごすからどこにでも現れる可能性があるのよね。

ところでアレックスちゃん、私がやったことにしていいのかしら?」


「え、ええ。カースがそう望むのなら。私が言うことはありませんわ。」


「じゃあギルドに行きましょうか? ところでギルドの解体倉庫に入るサイズかしら?」


「たぶんギリギリ大丈夫だと思う。全長は見えなかったけど。」


「うーん、それは危ないわね。外にしましょうか。カース達は先に北の城門から出てなさい。職員を連れて後から行くわ。」


「分かった。わざわざありがとね。」

「お手数おかけいたします。」


「うふふ、アレックスちゃんたらまるで奥さんみたいな物言いね。かわいいわぁ。」


お、真っ赤になった。やはり可愛いぜ。





城門外で待つこと十五分。


マリーが御者をする馬車に乗った母上とキアラがギルド職員を連れてやって来た。


では出すとしよう。一応母上の隣で母上が出すと見せかける。




大きい……

私の魔力庫は長辺が二十五メイルを超えると入らないはずだが……

蛇のように曲がるなら大丈夫だということか。

見た感じ胴体の太さは直径五メイル、全長は四十メイルぐらいだろうか。

あまり蛇らしく見えない、むしろツチノコに近い気もする。


「こ、これは……サウザンドミヅチの成体ではありませんが……幼生ですね。」


このサイズで幼生?

成体もどこかにいるってことだよな?

魔境は怖いな。


「で、どう? このサイズだとギルドの倉庫に入るかしら?」


「え、ええ、何とか入ると思います。」


「今ならサービスで半分に切ってあげるわよ。それとも血が勿体ないからやめておく?」


「そうですね。血も貴重な薬になりますので。このままギルドにお願いできますか?」


再び私は母上の隣に並び収納する。



そしてギルドにて。


「素材はカースの好きにしていいわよ。私は蛇嫌いだから。じゃあ先に帰るわね。」

「カー兄じゃあねー。」


「うん、母上ありがとう! キアラも後でな。」


職員と話した結果、皮の丈夫な所をコート二十着分、魔石、肉を少々貰うことにした。

牙や血などは興味が湧かないので売ることにした。


「アレクはどこか欲しい素材はないの? 今なら好きな所をあげるよ。」


「カースったら気前がいいんだから。なら牙をいただくわ。解体用ナイフにするの。」


「では後日引き取りに参りますね。買取金額はいくらぐらいになりそうですか?」


「軽く見ても金貨三百枚ですね。領都なんかに持ち込まれてオークションにかければ千枚になってもおかしくないですよ。」


子供相手にえらく誠実に対応してくれる人だな。ありがたい。


「なるほど。その気はありませんので、買取お願いします。では来週末ぐらいにまた。」





「少し寄り道しよう。ファトナトゥールに行こうよ。」


ギルドからファトナトゥールは同じ一番街なので結構近いのだ。

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