毎日朝の占いを見る奴っているの?(1)
「ねぇホムさん! ホムさんって何型っすか?」
「なんだ急に……血液型の話か?」
「はいっす!」
「はぁ……B型だよ」
そう俺が答えると、片桐は嬉しそうに本をペラペラとめくり始めた。
「ええっとですね……B型のあなたはマイペースで楽しい事が大好き! 興味のある物にはとことん熱中するが、意外と冷めやすい……だって! 当たってるっすね!」
「はぁ……気が済んだか?」
俺は占いが嫌いだ。
名前、手相、星座、誕生日、血液型。そんな物で人の性格、人生を勝手に決めるなと言ってやりたい。
「そもそも誰だって楽しい事は大好きだし、興味ある事は熱中する。誰にでも当てはまる事を言っているだけじゃないか」
「んふふーそういう所がB型っぽいっすー!」
……駄目だ話が通じない。
はぁ……占いなんて何の科学的根拠も無いし……信じている奴は頭の中お花畑なんだろうなと勝手に思っている。
「えーとボクは……あ、めっちゃ当たってる!! やばいっすよこの本! 怖っ!!」
……こういう奴な。
まぁ別に好きなやつは好きでいいと思うんだが、興味の無い人を無理やり巻き込むのは止めて欲しいものだ。
そんなことを思っているとコンコンとノックの音が鳴り響いてきた。
「おお、久しぶりに来たな。クローバー出番だ」
「はいっすー!」
片桐は立ち上がって扉を開いた……が、急に固まって口を開いたまま動かなくなった。
「あ……あ……」
「どうしたクローバー?」
「あ……ち、ち、チカさん!?」
誰だよ。
俺がひょっこり覗いてみるとそこには、ロングヘアで背の高い紫色の服を着たお姉さんが立っていた。
「こんにちはー」
「ち、ち、チカさんっすよね!? ボクふ、ファンっす!!」
「ふふっ、ありがと。嬉しいな」
片桐はいつにも増して興奮している。
お二人で盛り上がっている所申し訳ないんだが……
「なぁクローバー、その人は誰だ?」
「知らないんすか!? この人はちょー超有名な占い師のチカさんっすよ!? 」
……占い師? こんな世界にも居るんだな。
「ふーん。まぁとりあえずお入りください」
そう言うと、チカと呼ばれた女性は礼をして入って来た。
「じゃあ座ってくださいな」
「はーい」
「お名前と依頼内容をどうぞ」
「私はチカ。さっき言われた通り占い師をやってる者だよ。それで依頼なんだけど」
「はい」
「占いに使うための水晶を作りたいんだけどさ、その素材を取ってきてほしいの」
なるほど。素材を取ってこいと。
どーでもいいけど占いに水晶って必要なんだな。あれ雰囲気出すためだけにあるものかと思ってたよ。
そんなことを考えていると、片桐が話し始めた。
「でもチカさん水晶持っていたはずっすよね? 月間チカ占い☆ の星の月の53ページに書いてあったっすよ?」
……コイツ占いガチ勢だったの? 最近読んでた本ってもしかして占いの本だったの?
「おおーよく知っているね。でも最近落としちゃったんだ」
「そうなんすか! 割れたんすか?」
「いや、転がって川に落としちゃったの」
「ドジっ子なんすねー! かわいいー!」
「う、うんそうだね」
おーいチカ引いてるぞ。
「話を戻そう。どんな素材が必要なんだ?」
「そうだねークリスタルドラゴンから取れるやつ石なんだけど」
「クリスタルだよね」
クリスタルドラゴンから取れるのはクリスタルだよね? 何? なぞなぞ?
「そうそう。それー」
と言ってチカは指を刺してくる。
「チカさんのためにボクが沢山取ってきますよ!!」
「わー頼りになるー! 君名前は?」
「ボクはクローバーっす!」
「クローバーちゃん! 頑張って!」
「は、はぃい!!」
声裏返ってるぞ。今更だが、片桐が緊張しているのを見るのは珍しい気がするな。
すると片桐はなんかモジモジし始めた。トイレ?
「あっ、あと……」
「ん?」
「……握手してほしいっす」
「いいよ! はい!」
「へへっ……あは……ああ!!!! ああ!!!」
なんて声出してやがる。
「この手……一生洗いません!!」
「んふふー洗おうねー」
────
「ってな訳でクリスタルドラゴンの所へ行くっすよー!!」
「どこに居るんだ?」
「山っす!ザルツ山!」
どこやねーん。
「こっから北へ100キロくらいの所にあるっす!!」
「遠いな」
「ボクからすれば距離なんてあって無いようなものなんすけどねっ!!」
確かテレボート出来るんだっけ。ずるいなぁ。
「まあ別にボク1人で大丈夫っすけど、ホムさん着いてきますか!? お留守番しててもいいんすよ!?」
「いや、行くぞ? クローバーだけに働かせる訳にはいかないからな」
「ふふ、流石っす!! それじゃあ行きますか!!」
「テレポートゥッ!!!」
「なんか今日のお前テンションおかしくね?」
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