第053話 交代
『意思は引き継がれる』
ヴェスと再会してから珍しく感情的な仕草を見せていた
「断る」
少し顎を上げて下目遣いになるようすにしながら周囲の全員に聞こえるような声でその言葉を発した。
「協力して頂けないのですか?」
その声は絞り出すしたようなか細いものだった。表情には愕然と無念が滲み出ていた。
「貴様っ!ヴィクトリア様の依頼も断るのかっ⁉︎」
カルドが噛みつきそうな勢いで声を上げた。
「俺はジョージの意志を伝え聞いてここまで来ている。その事と戦争は関係ない。国の存亡は自分達で解決すべき問題だ。お前達の国の救世主になるつもりなど、毛頭ない」
「レヴィスター。貴方が今ここにいる理由は正直には分からない。父の意思についても同じだ。でもそれが我が国の危機と密接に関係しているからここにいるのではないのか?」
その場の全員の視線が
「そうでなければ僕等がここまで辿り着くまでに何度も助けてくれた事は意味をなさない。恐らく
「俺は次の都市(
「しかし、我が国が滅んでは
「
そこに
「レヴィスター様、ドワーフの国は向かうのは少しでも早い方が良いのです。なのでお言葉ですが、その議論は不要です。そして
「それはお前達の都合だろう⁉︎俺は
「私はレヴィスター様があれを追っていると思っています」
「彼の国はあれに関して重要な鍵を保管しています。それは仲間であったレヴィスター様ならお察しなのではないですか?」
「レヴィスター様はあれを追いかけ、私達は
「ヴィッキー…。それは意味を分かって話しているのか?」
「ええ…」
「D」
「そうか…、そういうことなら…。分かった、一緒にバグディの所へ行こう」
「えっ⁉︎それは本当ですか⁉︎」
「あぁ、二言はない」
「皆さん。レヴィスター様は協力を約束して下さいました。これよりドワーフの国へ向かう準備に入ります」
「本当にバグディスタの所に行けるのか?」
ヴェスは怪訝そうな表情で質問した。
「ヴェスは
「いや、心配しているのはそこじゃない。ヴィクトリアがお前に期待しているという事は、抜けた先が危険なんじゃないのか?」
「まぁ、そんなところだろうな」
「ふ〜ん。で、ヴィクトリアは耳元で何を言ってたんだ?」
「身分は関係なくあの歳で教会のトップに登っただけのことはあるなぁ。色んなカオを持っている」
「へぇ、お前が感心するほどか⁉︎ってことは、あれに関わる事だな?」
「ああ、そうだな」
「ジョージ(冒険王)から聞いていたのか?」
「さぁ、どうかな⁉︎さっきの会話だけでは分からない」
「もしジョージからじゃないとしたら、教会(勢力)もなかなかやるなぁ」
ヴェスが少し意地悪く笑った。
「何をニヤついてるんだ⁉︎ここからはヴェスの
ヴェスは
「はい、はい。お前がいるんだから付き合うしかないだろう⁉︎それにジョージからも頼まれてるしな」
礼拝堂の扉の前まで来てから
「エディとカルドはここまでです。入り口にいる部隊を連れて
すぐ後ろにいた
「えっ⁉︎姉上、それはどういう事ですか?私も一緒にドワーフの国へ向かいます!」
「貴方は戻って本来の役目である領主としての責務を果たして下さい。これから敵国が攻めて来る事が予想される中で、率いる者がいない軍隊では困ります」
姉の言う事がもっとも過ぎて、
「しかしそれでは(戦闘時の)前衛を務める者がいなくなってしまいます」
「この先はその必要はないと思います」
そう言って
「ですよね⁉︎レヴィスター様?」
「たぶんな」
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