第051話 聖女
『光と光が再会して暗闇に光が差し込む』
少しずつ登るっていく太陽が視界を明るくし、
「そうだっ、
少しの光明を見ていた
「エドワード様。恐れながら、
彼は顔を少し地面に向けて一点を凝視するように視線を動かさず、気持ち悪い何かを喉元に詰まらせたような表情をしていた。
「私も同じように思います」
ティスタがカルドのやや後ろに移動してそう言った。彼女の表情も身体とほぼ同じような印象で、
「ドワーフの国への道は
ティスタの言う通りだった。中央山脈がドワーフの国までの道を1本道にしていて、そこには侵略して来た敵国が警戒しながら陣を張っているはずだ。そこを抜けるには平時でも3ヶ月近く要する行程で、仮に戦時下で敵の監視をかいくぐりながら進めたとしても、何倍もの時間を必要とするだろう。
「我が国と彼の国の関係性を考えると、援軍を請う程の親密度はありません。例え彼の国へ行けたとしても助けてもらえる可能性はかなり低いと思われます」
カルドは国交の観点から意見を述べた。中央山脈によって迂回させられる長い道のりを行き来するのはリスクが高い為、ドワーフの国との交流は盛んとは言い難かった。
「まずは
配下達の重苦しい雰囲気を感じて、
歩き出してすぐに前方に人影を発見した。
「あれはお友達みたいだよ」
「ありがとう」
そう言って笑顔を返した。
次第に近づいてくる人影は意外に多かった。それは
あと30歩程まで近付いた時に
「エディ!よく無事で!」
「姉上。何故ここへ?」
彼がいない
「これからドワーフの国へ向かうためです」
「えっ!??」
「もう時間がないの。今の戦況をひっくり返すためには彼らに力を借りなければ絶対に無理」
「しかし、彼の国へ辿り着くのは不可能では?」
「それなら大丈夫。エディがレヴィスター様を連れて来てくれたから」
「えっ?何故それを知っているのですか?」
彼の疑問は当然だった。大陸に上がってから
「それは彼女のおかげよ」
「久しぶりだなぁ。ヴェス」
「ああ、久しぶりだなぁ。レヴィスター」
返事をしてすぐに右手を顔の高さに突き出した。その手には鞘から抜かれた
自分に向けられた
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