第050話 気付
『感情を制御するのは至難の業』
夜明け前の暗がりで視界を助けるのは月の明かりだけだった。春の太陽と比較すると非常に柔らかな光で
王子の体勢の変化に応じて距離を取っていたカルドやティスタは静かに見守っていた。彼らも
「止められて止まるものでなかった」
「…、まぁ、それは仕方ないな。これは俺の所有物でもないし、調査も終わっている」
「あーあ、壊れちゃったね〜」
「鱗は1枚取れたからいいだろう?」
すかさず
「うん、記念に1枚もらえたし、全然大丈夫!」
そのひと言でその場にいた全員の雰囲気が軽やかに変わった。
夜が明けた。今日も太陽は
街は下流の門付近を中心にしながらもほぼ全域に渡って破壊されていた。黒く焼けこげた建物も数多くあり、やはり
捜索したが住民は発見されなかった。住民はおそらくこれから向かう
「さあ、行くぞっ!」
と声をあげて出発しようとした時、
「エドワード。これからどこに向かうんだ?」
と言って
「えっ⁉︎どこって…
「それ以外にあるの?」
カルドは2人の台詞に大きく頷いた。そこは3人は今回の旅の出発点であり、自宅があり、所属する部隊があり、守備を任された都市だった。早く帰還して
「それで
視線を感じ取って
「勝たないと国が滅ぶのだから、勝つよ」
「勝算はあるのか?」
「想像で申し訳ないが、3つの大都市のうち2つの都市が陥落しているのならば、兵力は単純に1/3になっているはずだ。避難できた兵力はある程度あったとしても、開戦前の1/2に満たないだろう」
「まして
それは
「俺がいたところで
確かにその通りだった。兵士数や戦力は恐らくかなりの差になっているはずで、その差を埋める方法はほとんどなかった。
絶望的な現実が
「そうだっ、
その気付きによって
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