第049話 調査
『悔恨は常に背に潜んでいる』
白い氷像と化した万物の霊長である
「レヴィ!この鱗って取れる?記念に持って帰っていい?」
「衝撃を与えると全身が粉々になるから、俺が調査し終わるまで待つんだ」
「え〜〜。つまんないなぁ」
そう言って顔を膨らませてから一転して笑顔になった。
「まぁ、それなら仕方ないねぇ」
と、何事もなかったように
彼は先程「調査する」と言っていたが、今の行動は調査しているようには見えなかった。
「レヴィ。なんかお話ししてるの?」
「待たせて悪かったな。調査は終了だ」
「えっ、じゃあ、白い鱗を取ってもいい⁉︎」
「1枚だけだぞ」
「やった〜!ありがとう!レヴィ、大好き!」
と言った
「レヴィスター。調査とは何を?」
更に1歩近づいたティスタが質問した。凍り付いた
「
「その存在は魔法学校で習いました」
「
ティスタは思わずビクッとして少しのけ反った。それは彼女がこれまでに教わった常識にはない事で、また眼の前の
「えっ!?
彼女の驚きはいたって普通の反応だった。なぜなら彼は有り得ない事をさらりと言ったからだ。彼女の反応を見て
「ああ、反応はほとんどなかったがな…。でもこの個体に何が起こっていたのかは少しだけ分かった」
「どんな事が分かったのか、教えてくれないか?」
「心臓と頭脳を生かしておいて、会話を試みた。反応は薄かったが、自我を失っていたのが分かった」
そこにカルドが割って入った。
「なにっ!??この
そう言ったカルドの身体は小刻みに震えていた。半島で
「大丈夫だ、今はもう全身が凍結している。もう動けやしない」
「万が一動きそうだと思ったら蹴ってみるといい。氷は簡単に割れる」
それを聞いてカルドは安心した。
「
ティスタの質問は誰もが感じる疑問だった。この世界で万物の霊長であり、天敵は皆無で生命の危機に晒されるストレスはないため、我を失う要因を探す事が不可能だと思われた。
「確かに彼等はこの
「それはこの
「人間は寿命が短いせいか、変わらないものにすがって安定を求める傾向が強いからな」
それは人間を軽視する感じではなく、冷静に分析している感じで、
「何らかの影響を受けて自我を制御できなくなっていたはずだ」
「えっ、そんな事ってあり得るの?彼等は万物の霊長ですよ」
ティスタは自分の持つ知識からそれはあり得ないと考えているようだった。
「この個体は間違いなく自我を失っていた。何故そうなったのかという事は流石に分からなかった」
「だとしたら、フォロティの街は狂った
「予想にはなるが、十中八九はそうだろうな。遠目に見えただけだが、人類による破壊の跡とは思えなかった」
狂った
「エドワード。この
そこで
ここで
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